無人ミニコンビニを年内1000カ所設置へ! ミニストップ、マイクロマーケット開拓に本腰
セキュリティの課題をクリアする出店方法
こうした課題を解決するため、ミニストップは7月4日、スマホでドアの解錠ができる実証店舗を東京・高輪の「ヤマハ東京事業所」内に開設した。
この実証店舗では、ヤマハが開発した音響通信技術「SoundUD」を活用する。新たに開発した入口のボードにスマホをかざすと、解錠画面が立ち上がり、画面上のボタンを押すと音声が再生されて、それをトリガー(引き金)に施錠が解除され、入室できる。
専用アプリや事前登録は不要で、利用者は初回入店時に顧客属性を入力するだけで利用できる。音を信号にするため、実際に来店した人しか開けられず、防犯効果も高い。
設置先としては使用していない会議室、あるいは簡易なドアを付けたパーテーションを設置したスペースを想定しており、先述の最小構成なら利用料もかからないため、初期投資が抑えられる。
導入のハードルが下がることから、外部からの入館者など不特定多数の利用者も想定した場所に設置できるなど、ミニストップとしては出店の選択肢が広がる。コロナ禍で企業や病院の売店の運営が困難になり、「代わりにミニストップポケットを導入したい」という引き合いもあったが、これまではセキュリティが担保できないことを理由に断っていたという。
年内1000カ所に拡大、将来は5000カ所も
ミニストップは現在展開している約700カ所の設置拠点を年内にも1000カ所に拡大する。今後は「マイクロマーケットはまだまだ伸びる」(ミニストップ職域マーケット部部長の原田浩一氏)とみており、「次の戦略は実証店舗の利用状況を踏まえた上で組み立てるが、事業として成立させるためには将来的に3000~5000カ所に広げていかなくてはならないだろう」(同)と話している。
なお、7月4日に開設した「0号店」のスペースは約10㎡。20年に閉店したヤマハ東京事業所の売店跡に透明パーテーションを6枚組み立てる形で設けた。パーテーション1枚当たりのコストは約2万円。冷蔵庫とゴンドラを2台ずつ設置し、冷蔵庫の上にキャッシュレス決済ができるセルフレジと商品のバーコードを読み取るスキャナーを置いた。飲料や菓子、カップラーメン、ティッシュペーパーなど約100アイテムを扱う。
実証店舗は今後数カ所に設ける予定で、利用状況を分析し、「スムーズな入店動線をどう確保するか」「場所に応じて利用者の属性情報を取得する場合、どんな仕組みの連携が必要か」などを検証するとしている。