シダックスに出資へ、オイシックス・ラ・大地の次のターゲットはB2B領域!

崔 順踊(リテールライター)
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Kit商品の多角化とプロモーションの強化

 ここからは23年度3月期の取り組みを見ていこう。オイシックス・ラ・大地が今期取り組むのは、ビジネスモデルのブラッシュアップとサステナブル推進だ。具体的には①商品・サービスのスペシャリティ磨き上げ、②食品宅配マーケットにおけるブランド認知強化、③サービス全体のサステナブル推進の3点である。

 ①商品・サービスのスペシャリティ磨き上げにおいては、ディズニーなど同社の提供価値と親和性が高いブランドとのコラボレーション商品の充実や、朝食や昼食などのニーズに応え、領域拡大を推進する。加えて、冷凍食品「パッとOisix」メニューを2倍に拡充、料理初心者向けのキット「超ラクKit」シリーズの展開、Kit Oisix専用動画の配信など超時短ニーズに対応したサービスを提供する。

 ②食品宅配マーケットにおけるブランド認知強化では、テレビCMにも登場した「20th Century」とのコラボkitの販売やアカチャンホンポ(大阪府)との協業など、新たな販売チャネルの開拓や顧客体験づくりのために、プロモーション活動を展開する。

 ③サービス全体のサステナブル推進においては、サメ肉やきのこの軸といったアップサイクル商品、規格外商品、未利用食材、プラントベース食材などの「もったいない原料」を使ったミールキットを充実させる。サステナブル商品の開発・販売を引き続き推進し、1年後には100品まで拡大をめざす。加えて資材や段ボール、パッケージのサステナブル化も推進する。

 国内B2Cのサブスクについては、毎年10%以上の成長を続けていく計画で、海外においても香港・上海で「Purple Carrot」の事業展開をスタートしている。

売上成長をめざし「B2Bサブスク」事業を開始!

 そのほか今期は、事業領域の拡張も推進する。その目玉となるのが、「B2Bサブスク事業」の展開だ。

 6月よりこれまで保育園700園に提供してきた食材卸事業を発展させ、「業務用ミールキット」を新たに展開する。B2C事業で蓄積してきた子供の喜ぶ食べ物や、食育の領域における偏食改善のスキル、また「時短」という価値提供によって保育園の人手不足の解消や給食現場の負荷軽減に貢献していく。同事業では5年以内に売上規模100億円をめざす。

 そのほか、自社商品の製造効率改善や加工工程の内製化、PB商品の販売比率向上、現在遅れが生じている旧海老名ステーションを機能転換したフードレスキューセンターの正常稼働によって原価改善を進め、収益力の向上をめざす。

 また、上期には海老名センターの物流コスト比率回復を含む収益力の改善を最優先課題とし、利益を出せる体質を構築する。下期には、移転前に計画していたコスト水準に向けた改善施策を実施し、25年3月期までに物流費4%削減をめざす(22年3期末比)。

今期は、米国で展開している「Purple Carrot」について赤字を見込んでおり、全体として利益を増加させていくことに注力していく方針だ。

 以上の活動を推進し、来期は売上高1200億円、営業利益45億円、EBITDA65億円、四半期純利益25億円を見込む。

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