コロナ禍の逆風の中、はるやま商事がSDGsを推進し、現役女子高生とコラボする狙い

油浅 健一
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セレモニー以外でも着用可能な使い勝手

 出来上がった商品は、“大学の入学式に着ていきたいスーツ”をコンセプトに日常のコーディネートにも取り入れられるファッション感度の高いセットアップとなっている。

 ショート丈のジャケットやフレアパンツなどトレンドデザインをふんだんに取り入れつつもP.S.FAの“きちんと感”もミックス。入学式などのセレモニー場面に馴染みながらも、それ以外のシーンでも着用できる使い勝手の良さを兼ね備えている。

 人気インフルエンサーやモデルを起用したスタイルブックも店頭で配布し、毎日のコーディネートが楽しめるよう着こなし提案も行う。

 “テレワーク常態化”でスーツ離れが進み、ファッション全体のカジュアル化が加速する昨今、Z世代のニーズを汲み取った商品展開は、中長期を見据えると非常に重要になる。逆に言えばこの世代の取りこぼしはアパレルメーカーにとって許されないものなのかもしれない。

視点を変えてヒットの芽を育てる

 若年層の取り込みへ大胆な取り組みを矢継ぎ早に展開したはるやま商事の本氏は、「今回Z世代の取り込みにいろいろな施策を行ったが、例えば20代へ向けたプチプライスのスーツが40代、50代に売れたりもした。また小学生にも卒業式でのニーズがあることがわかった。30代、40代を対象に商品開発してもこうした展開はないと思うので、チャレンジすることで見えた部分があった。ちょっと目線を変えることも必要だと考える」と2つの取り組みを振り返る。

 スーツ業界ではコロナ禍、ルームウェア感覚で着られるスーツというヒット商品が生まれた。カジュアル化の波は決してプラスの状況とはいえないが、固定観念を取り外すいいチャンスでもある。なにより高度な技術が求められるスーツづくりのノウハウは、アパレルメーカーとして強力な武器となる。

 カジュアルウエアとスーツの隙間を埋めるように急成長しているワークスーツ市場は、機能性とプチプライスとカジュアル化が3大キーワード。コスパにも敏感な若年層は、時勢を反映するアイディアの宝庫といえるだけに、専業メーカーの技術力との掛け算でパジャマスーツに続くヒットアイテムが生まれる可能性は十分にありそうだ。

はるやま商事株式会社 VMDマーケティング部長 小倉修氏(左)、同社P.S.FA商品部 課長 本 新士氏(右)
はるやま商事株式会社 VMDマーケティング部長 小倉修氏(左)、同社P.S.FA商品部 課長 本 新士氏(右)
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