無料の会員誌がフリマアプリで売れる? コロナ禍で強さを見せたコストコのブランド戦略に迫る

榎森 順二
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顧客をより“コストコ沼”に引き込む

 日本で発行されているコストココネクションは英語版をベースに翻訳されたものではなく、全ページ独自に制作されているものだ。
内容は大きく分けて次の3つだ。

  • クリスマス、バレンタインデーなど季節のイベントに合わせたレシピなど、「商品×ライフスタイル」の提案
  • ベンダー(商品納入企業)からの開発コンセプトなどを交えた商品紹介
  • コストコの企業理念のアピール

 コストコの倉庫店で買物する会員は、「海外のスーパーで買物をしているようだ」という非日常感を抱く人が多い。その非日常感はコストココネクションの誌面にも反映されており、レシピなどでも海外のカルチャーを紹介しながら、新しい楽しみ方を提案するなどの特別感が盛り込まれている。

卵料理のレシピひとつ取ってみても、自宅ではあまり作る機会のない「エッグベネディクト」から、日本ではまだ馴染みのないイスラエルやチュニジア料理が取り上げられている(MARCH 2022号より)

 コストココネクションの発行目的は、一言で言えば「コストコの商品や理念をより知ってもらうこと」だが、担当者はそれを「もっとコストコ沼にはまってもらう」と表現した。具体的な例を挙げると、コストコといえば大容量食品のイメージが強いが、会員歴が長い顧客ほど家電や生活雑貨などの非食品への注目度が上がっていくという。コストコを「食品を購入する場所」と考えている会員が、自然と非食品へ目を向けるのには時間がかかる。コストココネクションを通じて食品・非食品を問わず広く商品を紹介し、さらに特別感を持って演出することで「コストコの幅広い品揃えのより奥に入り込んでもらう」(担当者)スピードを加速する役割をコストココネクションは担っていると言えそうだ。

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