オイシックス21年度3Q増収減益 新物流センターでのトラブルはなぜ起こったか?

棚橋 慶次
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物流トラブルはなぜ起きたか?その影響は?

 オイシックスの売上は毎年約20%増のペースで伸び続けている。さらなる成長を見据え、かねてより準備を進めてきたのが新たな物流拠点となる「新海老名ステーション」の構築だ。

 新海老名ステーションは旧ステーションと比較して延床面積で5倍、出荷キャパシティも2倍を確保した。今まで分散していた物流網を新ステーションに統合し、作業効率化と物流削減効率化も同時にはかるねらいだ。当初は2024年度の稼働をめざしていたが、伸び続ける宅配需要に対応するため計画よりも2年早め、今年の1月16〜17日に全出荷を新ステーションに移管した。

 新海老名ステーションでのオペレーションは、入庫→在庫管理→棚入れ→ピッキング→出庫の順に行われる。トラブルの発端は一番始めの入庫作業だった。商品の納品遅れが発生したことで入庫作業が計画通りに進まず滞り、後に続く工程も機能不全に陥ったことで宅配遅延が起こったという。以前であれば一つの商品の納入が遅れても、「遅れる商品だけ後で追加しよう」とスタッフが判断し他の出荷準備を進めていたが、新海老名ステーションでは人依存の判断を可能な限り無くすという目的のため、「すべての商品が揃うまで出荷準備が始まらない」仕組みになっていたという。入荷遅れの影響を受けて、この新たな仕組みが裏目に出た格好だ。

 1月25日時点で出荷遅延は解消されたものの、今回のトラブルに伴う注文キャンセル・お詫びポイント付与・商品廃棄などの直接的影響の他、リカバリー対応(商品アイテム制限・追加物流コスト)、プロモーション停止などにより、売上ベースで15億円、利益ベースで15〜20億円の影響が生じたと見られている。

 オイシックスはリカバリープランとして配送の拡充、配送の質の改善、生産性向上の3つを掲げている。配送の拡充については、新ステーションの生産性向上とサテライト等物流拠点の出荷数増により、2月中に完了する。

 配送の質の改善の改善については、今期中に制限していたアイテム数を拡張。生産性の向上については、2022年上期を目途に、新ステーションの生産性水準達成をめざす。上記対策によりトラブルによる業績影響は今期内に収束させ、そして来期はスケジュール通りの収益力強化をめざし、売上・利益ともに高い成長をめざす方針だ。

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