オイシックス21年度3Q増収減益 新物流センターでのトラブルはなぜ起こったか?

棚橋 慶次
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トラブル影響で通期業績を修正

 上記トラブル影響および直近の売上動向を踏まえ、オイシックスは2022年3月期通期業績予想を修正した。まず、売上高は1170億円と当初計画より80億円上方修正する。トラブルに伴う売上逸失を会員数増とARPUがカバーする見通しだ。

 一方で営業利益は35〜40億円と、当初計画より10〜15億円下方修正した。売上は増加するものの、トラブル対応に伴うコスト増が影響する格好だ。ただしトラブルによる業績影響は、リカバリープランの遂行により今期内にとどまる見通しを示している。

 オイシックスは、安全・高品質な食材によるサブスクリプション宅配という差別化されたビジネスを展開している。さらには「ビジネスを通じた社会的課題解決」を標榜する同グループはフードロス削減などにおいても革新的な取り組みを続けている。こうした企業姿勢が強固な顧客基盤につながっている部分も大きく、今回のトラブルによる離反は少ないと予測する。

 競合状況も、大地を守る会・らでぃっしゅぼーやの合併で、国内にプレミアム宅配事業においてライバルは見当たらない。統合後の企業カルチャーづくりもうまくいったようだ。一件順風満帆に思える経営環境だが、主力が国内事業なだけに人口減による会員数頭打ちの懸念からは逃れられない。加えて、欧米10か国あまりに事業展開するHelloFresh社の日本進出も気がかりだ。

 中期的には、さらなる成長を目指した経営戦略のブラッシュアップが求められるかもしれない。

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