欧米で大ヒット!日本のお菓子を詰め合わせた越境サブスクEC、ICHIGOが伸びている理由
一気通貫のサービス体制、外国人マーケティングスタッフが強み
ICHIGOの商品へのこだわりは、お菓子そのものだけではない。客が受け取る商品は、お菓子を入れる箱を含めての詰め合わせボックスなので、ボックスのデザインや見た目のイメージにもこだわっている。さらに、ECサイトの使いやすさ、商品説明冊子の内容、配送サービス、カスタマーサービスに至るまで、すべてにおいて高いクオリティを追求する。
梱包、配送手配などのアルバイトも含めて現在80名のスタッフがいるが、外部に委託せず、すべて内製化している。これにより、問題が発生しても社内で一気通貫の対応ができる。顧客からのクレーム、要望もすぐに反映し改善につなげる仕組みが構築されている。
YouTube、SNSなども積極的に活用している。「実は、ICHIGO成長のきっかけは、海外のYouTuberさんのおかげ」と近本氏は言う。「海外のYouTuberの方が商品を購入し、自身のYouTubeで紹介してくれたことで一気に注文が増え始めた。アメリカのみならず、チェコ、スペインなど『あれ?』と思う国からも注文が入る。なぜだろう?と調べてみると、そのYouTuberさんの投稿を見た人たちだった」(同)。それ以来、自社YouTubeを活用したプロモーションを自社でも展開している。
また欧米では、日本以上にSNSの存在が大きい。「商品を受け取ったら、ほぼ全員といっていいほどSNSにアップしている。たとえば『#TOKYOTREAT』で検索すると5万件がヒットするほど。商品の感想がダイレクトに伝わってくる」(同)。良い投稿ばかりでなくマイナスの投稿もあることから、そうしたクレームや要望を吸い上げ、検討改善につなげている。現在、Instagram、Facebookを中心としたSNS全体のフォロワー数は約150万人。顧客の生の声が聞ける仕組みができ上がっている点は、マーケティング上の大きな強みといえる。
ECサイトは英語のみで展開しているため、顧客の70%はアメリカで、イギリス、カナダ、オーストラリアの4カ国で80%、その他ヨーロッパ諸国を合わせると90%を占める。残りの10%はアジア、アフリカ、中東など、幅広い国と地域の顧客を抱える。「外国のことは外国人にしかわからない」という明確な考えのもと、マーケティングスタッフは全員外国人が担う。