神戸物産21年10月期大幅増益!来期、原料高騰でも増収増益するための戦略とは
将来的には1500店舗出店へ 次世代型業務スーパーを8月にオープン
21年10月期目標出店数の純増60店舗を上回る71店舗純増を記録した業務スーパーだが、沼田社長は「毎年60店舗純増というペースは難しいが、30から40店舗純増を目指す」と話す。続けて「数年前までは、(現在の950店舗から)約1200店舗まで出店可能だと考えていたが、今期の好調ぶりをみて1500店舗は将来的に可能だ」と意気込んだ。
「現在の店舗戦略における課題は、店舗あたりの『稼ぐ力』を向上させること。そのためには、店舗あたりの販売管理費を抑えなければならない。人件費や光熱費は対策を打たなければ必ず上昇するからだ。店舗のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるためにも、新たな取り組みを始めた」(沼田社長)
業務スーパーでは、2021年8月に大阪西成区にて、AIを活用し、販管費を抑える次世代型業務スーパー「天下茶屋駅前店」をオープンさせた。ソフトバンク社と提携する同店舗ではタブレット付きカートや自動で欠品検知をするシステムを導入しており、機械が人間の仕事を担当することで、コストを削減できる。
今後、天下茶屋店での成功事例を、全国の店舗に横展開していく考えだ。
総菜事業「馳走菜」が好調 外食事業は苦戦
好調だった業務スーパーと対照的に、苦戦したのが外食事業の「神戸クック・ワールドビュッフェ」だ。ビュッフェ形式ということもあり、コロナ禍において消費者から敬遠され、2店舗の純減。
健闘したのは、総菜事業の「馳走菜」だ。21年10月期は24店舗の純増で、同期末時点で計49店舗を展開する。コロナ禍で加速した中食ニーズを取り込んだ。売場・厨房あわせて約20坪ほどの広さで、業務スーパー店内に入るスタイルである。現在は利益が出るフォーマットとなっており、加盟店からも誘致の依頼が絶えないという「馳走菜」は将来的に500店舗まで拡大をめざす。
原料高騰下で来期も増収増益を見込む
22年10月期の業績予想は対前期比で売上高は5%増、営業利益5.5%増、当期純利益は1.1%増とした。出店目標は60店舗の純増を掲げ、沼田社長は「関東直轄エリアでの順調な出店を見込んでいる。22年10月期の業績は、21年10月期の実績を上回りたい」と話した。
まとめると22年10月期は、原価高騰が経営環境に大きな影響を与えることが予想されるも、製造力の拡充に伴うチャンスロスの削減で売上の最大化を図り、PB比率向上と商品の適宜値上げや見直しを進めて粗利益を確保しつつ、21年10月期に進めた物流コスト削減などで販管費を抑制、増収増益を達成したい考えだ。