「売らない店」の構成比4割突破のマルイ 急ピッチで進める「3重の収益構造とは」
小売金融一体の「参入障壁が高い」ビジネスモデル
丸井が手掛ける「未来投資」とは、「サステイナビリティ」「Well-being」「DX」といった、同社が共感できる世界観を掲げる企業に投資することを指す。2021年9月末時点において、累計で31社、134億円を投資し、全体のIRR(Internal Rate of Return:内部収益率)は35%と、最低限必要とされる利回りであるハードルレートの10%を上回る。ブランドへの投資というリスクテイクにより、百貨店として「新たな時代」のプラットフォーマーになることを志向する。
一例として挙げられるのが、同社が2019年12月に出資した、プラモデル、フィギュアなどアニメグッズを中心とした、中古ホビーの大手ECサイト「駿河屋JP」を運営するエーツー社だ。出店に加え、マルイファミリー溝口の買取センターでは丸井グループの社員が運営を担い、提携カードを発行する。ECサイトで購入した商品をマルイ・モディの専用カウンターで受け取ることができるなど、協業を進めている。丸井独自の経済圏を、D2Cブランドとともにつくっていくのだ。
加藤CFOは「D2Cブランドの出店だけであれば、参入障壁が低く、他社との差別化は難しい。アセットである『店舗・カード』を活かし、出資まで行うことで、当社が創業以来培ってきた小売金融一体の独自のビジネスモデルを進化させたい」と話した。
通期見通しも増収増益予想
丸井は22年度3月期の業績予想についても公表した。通期の見通しは売上収益が2120億円(対前年同期比3%増)、営業利益が365億円(同40%増)としている。小売事業の営業利益は20億円(同35%増)を見込んでいる。グループ総取扱高はクレジットカードの拡大により3兆4,100億円(前年比17%増)となる見通しだ。