EMS機器の「胡散臭さ」払拭!SIXPADを大ヒットに導いたMTGのマーケティング戦略とは

堀尾大悟
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ライバルはYouTube ハイブリッドトレーニングで差別化を図る

SIXPAD Foot Fit
SIXPAD Foot Fit Lite

 またたく間に消費者の支持を得たSIXPADは、その後も破竹の勢いで商品展開を加速させていく。2018年にリリースした「SIXPAD Foot Fit」はシニア層の足の筋肉強化を図るもので、累計出荷台数50万台を突破(2018年10月〜2021年2月実績)。シニア層のヘルスケア領域でもSIXPADブランドを確立した。 

 202010月には自宅で体験できるEMSオンラインジム「SIXPAD HOME GYM」のサービスを開始。コロナ禍で自宅でのトレーニング需要の高まりにいち早く応え、ニューノーマル時代の新たなトレーニング様式を提案している。

 SIXPADの強みは、商品開発とブランディングにとどまらない。販売は自社ECサイトをはじめとするオンラインが主軸だが、直営店を含む28店舗の常設店舗と、百貨店やSCにポップアップ店舗を随時開設し、消費者がSIXPAD製品を実際に体験できる機会を提供している。「売って終わり」でなく、販売からアフターフォローまでLTV(顧客生涯価値)の最大化に注力することで、顧客エンゲージメントを高めている。

 そのSIXPAD が目下力を入れているのは、EMSトレーニングに有酸素運動や筋力トレーニングを組み合わせた「ハイブリッドトレーニング」の啓蒙だ。

 「コロナ禍を経て、自宅でトレーニングする運動様式が当たり前となった今、YouTubeなどのオンライン動画サイトが私たちにとって新たな競合となっています。SIXPADを活用し、EMSトレーニングをしながら有酸素運動や筋トレもできる超効率的な『ハイブリッドトレーニング』のムーブメントをつくることで差別化を図っていきたいですね」(熊崎氏)

ブランドマネージャー
SIXPADブランドマネージャーの熊崎嘉月氏

 粗悪なEMS機器によって“荒れ地”となっていた健康機器市場を一から開墾し、モバイラブル・トレーニングギアのブランドを確立したSIXPAD。その歩みは一見華々しい成功ストーリーに映るが、その陰には製品開発とブランディングの両面で「本物」を追求し続ける地道な努力があった。今後は「ハイブリッドトレーニング」の旗を掲げ、さらに市場のフロンティアを開拓していく。

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