EMS機器の「胡散臭さ」払拭!SIXPADを大ヒットに導いたMTGのマーケティング戦略とは

堀尾大悟
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強力ブランドアイコンでネガティブイメージを払しょく

 製品化に向けて技術的なブレイクスルーを果たしたMTGの開発チーム。さらにEMSの安全性を担保するため「一般社団法人日本ホームヘルス機器協会」にも加盟し、EMSの安全基準に関するJIS(日本産業規格)の検討に参画した。

 しかし、EMS機器のネガティブなイメージを払しょくするためには、製品開発の努力に加えてさらに抜本的なイメージの刷新が求められた。ここでも熊崎氏たちは「本物であること」を追求した。

 「これまでのEMS機器の多くは、トレーニング習慣のない運動嫌いな層に対して『自宅で気軽に痩せられる』効果をうたっていました。しかし、私たちがターゲットに設定したのはむしろ逆で、トレーニング習慣のある健康志向の高い層。彼らに『本物』のトレーニングギアを訴求するためには、強力なブランドパートナーの存在が不可欠でした」

 そのブランドパートナーを、熊崎氏たちはもう一人のキーパーソンに託した。サッカー界のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウド選手。既に他のブランドでパートナーシップを結んでいた同選手のもとを、新しいEMS機器の試作品を携えて訪ねた。

 「試作品で腹直筋がしっかりと強縮していることを確認してもらったところ、『筋肉を休ませる』というトレーニング理論を入れて欲しい、といった要望をいただくなど、実際に開発にも携わっていただきました」(熊崎氏)

 その後もさらに試作を重ね、独自のEMSテクノロジーを確立。2015年、新たなトレーニングギア「SIXPAD Abs Fit」としてついに製品化された。

 同年7月、「SIXPAD Abs Fit」をリリース。そのメディア露出効果はてきめんで、ねらいどおり健康志向の高い消費者のニーズをとらえた。

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