コピーは所詮コピー
小売業界は、モノマネの世界だ。
ある企業の成功事例は、すぐに視察され、次の企業に取り込まれてゆく。
小売業界の目に見える部分は、ローテクなことが少なくないから、簡単にマネできることは実に多い。
ユニーの中興の祖である家田美智雄さんは、「社会人はカンニングをしてもいい世界だ」と明言していたほどだ。
だから、注目店舗にはたくさんの視察者が集まり、その店舗開業の1年後を待たずに、特徴的な売場がコピーされてしまう。
「マネも超えれば革新」と豪語する経営者もいる。
そういえば、もう20年以上前に、イオンの岡田卓也名誉会長が話していた言葉を思い出す。
「タイの小売業の発展が飛躍的だ。日米欧の最先端の店舗技術をそのまま移植できるんだから、スタート地点が違う!」。
「でも」と私が最近感じるのは、コピーは所詮コピーに過ぎないということだ。
いったい、元になるマスターとコピーは、何が違うのか?
マスターは、開発時に苦労しており、その発想から具現化に至るまでのプロセスが企業の内部に刻み込まれているから、出来上がったものにイノベーションのメスを入れることができる。
ところがコピーの場合は、完成品をただ持ってくるだけだから、導入したはいいけれど利用者は、そこから何をどう改良していいのか分からないのではないだろうか?
最新の売場をコピーして持ち込めば、その時点においては、キャッチアップできるのだろうけれども、所詮はそこまで。企業や店舗に創造性や革新性が根付いていない限り、その数か月後には、また両者間には大きな格差が生じてしまうだろう。
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