大黒天物産 大賀社長2014年を振り返る
昨日に引き続き、大黒天物産(岡山県/大賀昭司社長)の話題。大賀社長が好調の要因を自ら分析した(談:文責・千田直哉)
2014年の1年間を回顧すると、多くの小売業が4月の消費税増税の影響を受けた。
大黒天物産は、2014年1月の既存店舗売上高が対前期比0.8%減と前年割れを喫したが、2月以降の11か月間はすべて対前期比をクリアすることができた。
中でも駆け込み需要のあった3月は同2ケタの伸びを達成することができた。
増税後の4月の既存店舗は同1.9%増とかろうじて前年超え。その内訳は、客単価が同1%減、買い上げ点数は同1.1%減、客数は同2.9%増。ということで増税後は、お客様が出費に慎重になり、ディスカウントストアでの買物頻度をあげたものと考えている。
過去1年間をトータルで振り返ると客数と買い上げ点数はフラット。違いは何かと言えば、客単価が増加していることだ。
その理由のひとつは、1品単価が上がっているためだ。
当社はディスカウントストアなので1品単価を上げる方針はとっていない。どちらかと言えば、同じ商品であれば単価は下げる方向で動いている。
その方針は堅持しているが、1品単価上昇している要因は2つ考えられる。
ひとつは、2014年初めくらいから扱いを開始した「大容量商品」の売れ行きが良いことだ。
もうひとつは、“アベノミクス”の効果なのだろう。当社の商品ラインアップの中で一番裾野の商品だけではなく、それよりも高いものの動きがよくなり、構成比が変わってきていることだ。弁当なら198円から248円や298円に若干ながらもシフトしている。
現在、既存店舗のさらなる強化に向けて改装には注力しており、外回りの主通路回りを生鮮食品で囲うとともに、おいしさと新鮮さを向上させるなど商品強化に努めている。
新機軸で改装を施した「ラ・ムー姫路南店」(兵庫県)や「ラ・ムー加古川店」(兵庫県)、「ディオ真備店」(岡山県)では2ケタ近い売上伸長が図られた。
真備店では1g1円(税抜)の総菜バイキングのコーナーを新設し実験を開始。また、会員制ホールセールクラブのコストコに倣って、ローストチキンをアメリカで「ホットケース」(=什器)を購入して展開。好評を博している。
失敗もあるかもしれないが、ひるむことなく、円安をポジティブに受け止め、製造小売化を推進したい。
厳しい経済環境の中でこそディスカウントストアはお客様から支持を受ける。
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