イオンモールの成長戦略
イオンモール(千葉県/岡崎双一社長)は、イオン(千葉県/岡田元也社長)グループのデベロッパー事業の中核会社。アジアナンバーワンの商業専業デベロッパーをめざし、事業拠点の拡大や国内事業基盤の強化、またイオングループが推進するアジアシフトを実現するために中国・アセアン地域での事業展開を推進している。
2014年8月末現在、国内には135モール(内69の大型商業施設はイオンリテール〈千葉県/梅本和典社長〉から管理運営業務受託)、中国に5モール、カンボジアに1モール、ベトナムに1モール、合計142モールを展開する。
同社の拡大戦略を14年2月期から振り返ると、《国内事業》では、イオンモール春日部(埼玉県)、イオンモールつくば(茨城県)、神戸ハーバーランドumie〈ウミエ〉※(兵庫県)、イオンモール東員(三重県)、イオンモール幕張新都心(千葉県)と実に5モールを開業(※はプロパティ・マネジメント受託物件)。さらに既存11モールにおいて新規テナントの導入や既存テナントの業態変更・移動などによるモール全体を刷新する大型リニューアルを実施した。
続く15年2月期上期は、イオンモール和歌山(和歌山県)、イオンモール天童(山形県)、イオンモール名古屋茶屋(愛知県)の3モールをオープン。また既存5モールをリニューアル。事業拡大させながら、モールのデザイン性やテナントミックス、レイアウトなどのブラッシュアップを図り、完成度はますます高いものになっている。
この下期は、イオンモール京都桂川(京都府)、イオンモール木更津(千葉県)、イオンモール多摩平の森(東京都)を開業した。
そして、12月5日にはイオンモール岡山(岡山県)をオープンする。敷地面積約4万6000㎡、延床面積約25万㎡、総賃貸面積約9万2000㎡、駐車台数約2500台、専門店数356店舗。モールコンセプトを「haremachi わたしのみらいをつくるまち」とし、物販のほかにも岡山の文化を創造し発信する600席の「おかやま未来ホール」や岡山のものづくりを体験体感できる「ハレマチ特区365」、約800席のフードコート「haremachi Kitchen」、地元TV局OHK岡山放送のメインスタジオを併設したり、と盛りだくさんの試みを詰め込む。
一方、14年2月期の《海外事業》のうち「中国事業」では、中国4号店となるイオンモール天津梅江(天津市内3号店)をオープン。中国の既存3モールは、売上・来店客数ともに対前期比20%超増で推移する。そして14年4月には中国5モール目となるイオンモール蘇州呉中(蘇州市)を開業した。12月にはイオンモール武漢金銀潭(武漢市)を開業する。
「アセアン事業」では14年1月、ベトナムのホーチミン市にイオンモール タンフーセラドンを開業。14年6月には、カンボジアのプノンペン市内の中心にイオンモールプノンペンをオープン。11月にはベトナム2号店となるイオンモールビンズオンキャナリーをビンズオン省に開業した。
まさに騎虎の勢いで増収増益を重ねるイオンモールだが、《国内事業》においては、ここ数年の資材高と需給ギャップに起因する労務費アップによる建設コスト上昇をもろに受け、出店計画の修正を余儀なくされている。
16年2月期のイオンモール旭川駅前(北海道)、イオンモール沖縄ライカム(沖縄県)は、建物計画の精査やデザインの見直し、建設スケジュールの適正化により、計画どおり出店するものの、それ以降の計画については開店年度を見直す方針を発表している。
その代わりに同社の成長エンジンとなりそうなのが《海外事業》だ。
「中国事業」では、16年2月期にイオンモール蘇州園区湖東(蘇州市)、イオンモール北京豊台(北京市:仮称)、イオンモール広州番禺広場(広州市)、イオンモール蘇州新区(蘇州市)、イオンモール杭州良渚新城(杭州市)、イオンモール武漢経済技術開発区(武漢市:仮称)の6モールを新設。次年度もすでに3モールのオープンが決まっている。
「アセアン事業」は16年2月期にベトナムに2モール、インドネシアには1号のイオンモールBSD CITYと2号のイオンモールジャカルタガーデンシティ(仮称)が相次い
で開業する予定。さらに17年2月期はベトナムに1モール、インドネシアに3モールの
オープンを計画する。
イオンのアジアシフトの牽引役としてイオンモールの果たす役割は非常に大きい。
『チェーンストアエイジ』誌2014年12月1日号:初出
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