フルフィルメント バイ アマゾン
もう飽きてしまったかもしれませんが、本日のBLOGもまたアマゾンです。
ここで何度も紹介している通り、アマゾン ジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長:以下、アマゾン)の品揃えは1億アイテム。2013年度の売上高は76億ドルだ。
アマゾンの売上は、①アマゾン・ドットコム事業(小売事業〈仕入~販売〉)と②アマゾン出品(出店)サービス事業から構成される。
アマゾン・ドットコム事業については、改めて書くことはないだろう。
一方の出品(出店)事業は、販売事業者(製造業、卸売業、小売業)がアマゾンに出品か出店。消費者から注文が入ったら、販売事業者が直接受注先に配送し、代金はアマゾンが消費者に回収し、アマゾンから販売事業者に支払うというもの。プラットフォーム事業の出店は現在16万7000店舗。月間4610万アクセス(パソコン2088万回、モバイル2522万回)数を背景に、出店数や売上は拡大の一途をたどっている。
そして2013年春から、アマゾンが新しいビジネスとして立ち上げたのが、FBA(fullfillment by Amazon)とFBAマルチチャネル(fullfillment by Amazon multi channel)だ。
FBAはアマゾンのフルフィルメントセンター(FC)で出品(出店)者の商品を保管し、アマゾンが受注管理から出荷、カスタマーサービスを行う、というもので1品目1個から受け付けている。
では、出品(出店)者から預かっている商品はどのように管理運用されているのか?
作業工程は3つに分かれる。
① 【入荷工程】 出品(出店)者の商品を受領
・出品(出店)者の商品が到着すると、入荷エリアで納品情報の確認がある
・入荷処理工程では、FBAを利用する際に必要になる商品ラベルの貼付作業をアマゾンが代行
・入荷した商品はタテヨコ高さ、重量のサイズ計測が行われる
・ここのデータは出荷時の梱包資材選択に利用される
・通常は荷物が到着してから受領完了まで48時間以内に処理
・入荷処理が完了した段階から商品はアマゾン・ドットコムに掲載され販売可能な状態になる
・出品(出店)者から預かるFBA商品は他の商品に優先して検収処理が行われる
② 【在庫工程】 商品を保管
・入荷工程を通過した商品はカテゴリー別に階層分けされ、区分分けされたエリアに運ばれ、ただちに棚入れ
・アマゾンのFCでは商品軸でのエリア分けは行われているが場所指定はしない《フリーロケーション》という在庫管理手法を採用
・検収された商品は空のある棚に効率よく入れられる
・棚ごとに番地を割り振り、在庫数を正確に管理
・これにより出品者専用の保管場所を確保する必要がなくなる
・FBA利用者の商品を1つから預かることができる
③ 【出荷工程】 注文が入ったのちに発送業務を担当する
・消費者の注文→商品の棚出し
・正確にデータと照合し、商品が棚から取り出される
・スピードを求められるアマゾン独自のオペレーション
・1人の作業者が1つの注文に対して棚出しを行うのではなく移動距離を短縮するため、複数の注文の商品を同時に棚出しする
・作業者にはスキャナーから次の商品の場所を指示、迅速に棚出しができる
・棚から取り出された商品は、注文ごとに仕分け
・注文ごとの仕分けが完了した商品は、損傷がないか確認が行われ、緩衝材とともに箱の中に固定し梱包
・さまざまな大きさの商品を梱包するため、複数のサイズの梱包資材を商品ごとに使い分け
・ギフト包装の商品はこの工程でギフト包装サービスが施される
・このような工程を経てFBAで預かった商品は配送先へ届けられる
FBAを利用する販売事業者はアマゾンに出品すると同時にアマゾンの全国9か所の物流センターに在庫を納品するだけ。消費者から注文があった場合には、これら在庫の中からお客に商品を発送する。
では、FBA利用者の業績の変化はどうなっているのだろうか?
アマゾン調べでは、利用者の87%が売上アップ、72%が売上10%以上アップ、28%が売上50%アップ、14%が売上2倍増となっている。
さて、もうひとつのサービスであるFBAマルチチャネルについても説明したい。
これは、多店舗在庫管理システムだ。自社サイト、アマゾン、その他様々なモールに出品(出店)している販売事業者の在庫を一括して、アマゾンのFBAに納品するというものだ。
販売事業者のどの店舗に注文が入っても、アマゾンに出荷指示を出せば、アマゾンの倉庫から配送する。
アマゾン以外のサイトで購入したのに、アマゾンのロゴマーク入り段ボールが届くことが都合の悪い場合は、アマゾンの名前の入っていない「ブラウンボックス」と呼ばれる通常の梱包材で出荷する。販売業者の料金は、日本全国一律の発送料になっている。
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