提案型クロスマーチャンダイジング
クロスマーチャンダイジングと名前を変えて、関連販売が流行している。
食品スーパーの店内では、「野菜」と「簡易調味料」「漬物のタレ」、「精肉」と「焼肉のタレ」「カツレツ粉」「ワイン」、「鮮魚」と「煮物のタレ」「鍋用スープ」「基礎調味料」、「総菜」と「飲料」を隣接させ、関連陳列を実施し、買い上げ点数と買い物額の増加に躍起だ。
効果はてきめんで、クロスマーチャンダイジングを実施することで、売上が対前期比で2桁増加することも決して珍しくはない。
中には、加工食品同士のクロスマーチャンダイジングというのもある。
「小麦粉」や「菓子」と「清涼飲料」、「焼酎」と「炭酸水」、「カレー粉」と「お茶」…。
こちらの効果も非常に高い。
もはや、クロスマーチャンダイジングは、売場のあちこちで普通のものとして見られるようになっており、完全に定着していると言っていい。
ただ、中には「おやっ?」と思わざるを得ないようなものも散見できる。
「コーヒー」を例に取るなら、「スナック菓子」や「チョコレート」とクロスマーチャンダイジングさせている売場があるけれども、これは明らかにミスマッチだ。
「食べ合わせ」の善し悪しというものは明らかに存在するからだ。
きっと、机上で考える中の企画として出てきたのだろう。
また、せっかくクロスマーチャンダイジングを実施するのであれば、提案型という手法があってもいいだろう。
その意味で参考になるのが、UCC上島珈琲(兵庫県/上島昌佐郎社長)の缶コーヒー「UCC BLACK無糖」と宝酒造(京都府/大宮久社長)の「宝 焼酎」を3対1の比率で割った《ブラック酎ハイ》こと「ブラ酎」とそのクロスマーチャンダイジング売場だ。
「缶コーヒー」と「焼酎」の組み合わせは、お客にとって思わぬ提案であり、びっくりさせられるに違いないが、実際に購入して「ブラ酎」を試してみれば、納得すること請け合いだ。
クロスマーチャンダイジングの大きな目的の一つは、お客への利便性提供なのだが、それだけでなく、新しい飲み方や食べ方を提案しながら、製造業、小売業、お客ともに潤う売場がもっともっとあっていい。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは