「ダイエー」の屋号がなくなる
1957年に中内功さんが創業した「ダイエー」という企業名は、もともと曰く付きだった。
「ダイエー」の創立当時の社名は「大栄薬品工業」。1962年に「主婦の店ダイエー」に社名変更、1970年にはさらに「ダイエー」と変更することで現在に至っている。
では中内さんは、なぜ、「大栄」(=ダイエー)と名付けたのだろうか?
ルーツは、生家の家業の屋号「サカエ薬局」にある。
「サカエ薬局」の名前は、中内さんの祖父に当たる“栄”(さかえ)さんに由来する。
その「サカエ薬局」を中内さんの父秀雄さんが長男の中内さんではなく、次男の博さんに継がせてしまったのだ。
長子相続が当たり前の時代にあって、どんなに悔しかったことだろう。
中内さんは、「サカエ薬局」に勤務しながら、独立し一国一城の主になることを夢見たに違いない。起業するにあたって、「『サカエ薬品』よりも絶対大きくなってやる」と野望を持った――。
「大栄」(=ダイエー)には、そんな意味がある。
つまり、「ダイエー」は、中内さんの負けず嫌いと悔しさを表現した、怨念の詰まった企業名だったと言えるだろう。
周知の通り、その「ダイエー」の名前がいよいよ姿を消す。
イオン(千葉県/岡田元也社長)は、業績不振が続くダイエー(東京都/村井正平社長)の完全子会社化を発表。2018年度をめどに「ダイエー」の屋号をなくすことを明らかにした。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは