コミュニティ・ストアの2014年度下期政策
2014年9月18日、国分グローサーズチェーン(東京都/横山敏貴社長)はコミュニティ・ストアのプレスミーティングを開催した(@東京流通センター)。以下では、同社横山社長の2014年度上期報告と下期の活動方針発表を記す(談:文責・千田直哉)。
2014年度の国分グローサーズチェーンの基本方針は、「コミュニティ・ストアブランドの確立」と「《共創》による新たな商品・サービスの創造」であり、この達成に向けて全社を挙げて取り組んでいる。
2014年度上期の業績は、1月から8月までの既存店舗実績が対前年度比3.7%減だった。客単価は同0.8%減と横ばいを維持できたが、来店客数が同2.9%減となった。
消費税増税の影響と夏場の天候不順が主因と見ている。とくに関西地方は、天候不順が大きく影響している。
工場内売店、職域生協などの施設内に出店ができ、期初の426店舗に対して2014年度8月末日現在は609店舗と183店舗増加している。九州エリア内での営業再開などが店舗数拡大に貢献した。
営業面では、本部の従業員にタブレット端末を携行させ、売場チェックや迅速な情報提供、スーパーバイザー(SV)の資料ペーパーレス化などを進めた。
商品面では、主力となる米飯やデリカで「単身者世帯向け」や「非調理を意識した」開発を行った。
直営の吾妻橋店(東京都)では、冷凍のアイランドケースを導入することで品揃えの強化を図った。対前年度比で2倍以上の売上実績を残しており好調。他店舗への水平展開も実施していく。
ファストフード(FF)部門の強化では、カウンターコーヒーにマッチした半ナマ菓子を月に一回のペースで提案した。これも好調であり、この秋・冬は価格帯と種類に幅を持たせて、提案ペースを隔週単位に切り替えていく。
調味料、酒類、日用雑貨カテゴリーのアイテム数増にも注力した。従来の高さ1350mmの什器を棚板を増やし1650mmに変更した。2月に巣鴨店(東京都)、7月に吾妻橋店で実験的に導入したところ効果が認められたため、秋・冬の標準棚割に取り入れた。
春・夏の棚割との比較では、調味料で12SKU、レンジレトルトなどの簡便商品を8SKU、常温酒類で18SKU、日用雑貨で31SKUと合計69SKUが増加した。
こうした状況を踏まえて2014年度下期の施策を決定した。
まず、出店については、京王ストア(東京都/川瀬明伸社長)さんとの取り組みである「京王ストアエキスプレスwithコミュニティ・ストア」のようなコラボレーション成功事例を何とか増やしていきたい。
食品スーパー企業のみならず、ドラッグストアなど異業種とのコラボレーションを考えたい。企業オーナーと《共創》しながら、新しい店舗フォーマットを模索していきたいところだ。
2つめは商品政策だ。2014年度のキーワードは、「時短」「健康」「こだわり」の3つを挙げている。少子高齢化にともなう人口減少と世帯数の増加と世帯人員の減少、女性の社会進出、3大都市圏への人口集中と過疎化の進展、狭商圏化、調理をしない世帯の増加などがこうしたキーワードの傾向に拍車をかけている。
各店舗の品揃えも一律の対応では難しく、商圏ごと、店舗ごとに変えていく必要がある。
そこで、カテゴリーごとにメーカー各社との《共創》体制を構築していきたいと考えている。
まずは、「時短」の対応だが、簡便商品のひとつである「野菜加工食品」などヘルシーメニューを充実させる。また、最近はチルドのみならず、常温や冷凍など総菜も幅が広がっている。当社は、冷凍総菜の品揃えの強化を図るとともに、フリーズドライ商品の拡充にも力を入れていきたい。とくにフリーズドライ商品は、従来からある味噌汁ジャンルだけでなく、メーカーの技術力向上で親子丼の具材など面白くおいしい商品が散見できるようになっているので注目している。
また、少し遅れ気味だったFF商品のおかずジャンルも強化していきたい。
「健康」ということでは、トクホ(特定保健用食品)だけでなく、《腸活》(腸を活性化する)という切り口で品揃えを図る。この分野ではヨーグルトばかりが注目されているがそれ以外の商品も拡充し売場化していく。
「ごほうび」ということでは、高付加価値のプチ贅沢商品。具体的には具材の多いチルドスープやパン・パスタを使ったカップスープなどを提案していく。
そして施策の3つめは、サービス関係の強化だ。
POSAのギフトカードの取り扱いを開始したり、シャープ製のマルチコピー機を導入し、住民基本台帳カードを使って「住民票の写し」や「住民票記載事項証明書」「(各種)税証明書」などのコンビニ交付をできるようにする。この下期にシステム開発を実施し、来年2月からサービスを開始したい。
現在、コンビニエンスストア業界は大手を中心に躍進の途上にある。ITの進化により、売り方や買い方が飛躍的に変化する現状にあるが、当社は、こうした目まぐるしい変化に少しでも早く気付き、対応すべく邁進したい。
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