【夏休み中ですが②】 多様化するニーズに驚きと感動を

2014/07/11 00:00
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7月10日、味の素(東京都/伊藤雅俊社長)の「2014年秋季新製品説明会」(@品川プリンスホテル)があり、品田英明食品事業本部長から、国内食品事業レビューのプレゼンテーションがあった。ここにその一部を掲載したい。昨日のBLOGに引き続き、「生活者ニーズ」の多様化を強調している点が興味深い。(談:文責・千田直哉)

 

 

 まず、4月以降の消費税増税の影響について振り返りたい。

 2014年3月時点のマクロ環境は、勤労者世帯実収入が対前年同月比で1.4%減少している中にあって、駆け込み消費があったことで2人以上の世帯消費支出は同7.2%増加した。

 

 生活者の意識を前回1997年の消費増税時と比較すると、「駆け込み購入したい」という意向が、「増えた」とする人が22.2%、「減った」とする人が26.5%だった。

 

 その中で、4月、5月の食品市場の動きを見ると、生鮮を含む食品は、それぞれ対前年同月比9.7%減、同2.2%減となっており、事前予想と比べてその反動は小さかった。

 ただし「調味料」カテゴリーに限っていえば、4月は同17.6%減、5月は同6.9%減と平均値より落ち込みは大きくなっている。

 

 さて、当社の3月を見てみると、駆け込み需要に後押しされ、同19%増。特に「調味料」が大きく伸びた。

 4月以降は、TVCMを例年以上に打ったことで、中華メニュー調味料やスープが牽引して、4月は同6%減、5月は3%減。会社全体としての反動は小さいものだった。

 

 具体的な商品に目を向けると、「ほんだし」の消費税増税前後の販売状況は、2014年3月は対前年同月比52%増と通常は前年比前後で推移する商品が実に1.5倍に跳ね上がった。その後、4月は同9%減、5月は同10%減。当社の事前予測では最悪同50%減になることも覚悟していたので、良い数字だった。

 また、「Cook Do」は、同様に3月が同11%増、4月が同4%増、5月が同16%増と好調をキープしている。

 

 もちろん、需要を喚起するために対策を打った。

 今、生活者のニーズは、ライフスタイルの多様化に伴い、食にまつわる生活者ニーズも多様化している。

 当社は、デモグラフィック属性とライフスタイル(食へのこだわり)の2軸から、生活者を①「豊かな食生活志向」、②「時短・効率志向」、③「エコ志向」、④「節約志向」、⑤「小容量・適量志向」、⑥「ひとりごはん志向」に分類している。

 

 この6分類した生活者に「だし類(和風・洋風・中華風)」や「メニュー専用調味料」の購入重視点を聞くと、「おいしさ」や「安心・安全」を大事にしている方々が多く、必ずしも「低価格」が上位に来ているわけではないことが分かった。

 そこで当社では、「ほんだし」については、4月から家庭内在庫の消費を喚起するために「だし炊きごはん」施策を実施。「ほんだし」を使った“おいしい炊き込みご飯”をTVCMで訴求。また「Cook Do」もTVCMで「おいしさ」を前面に押し出したことが奏功し、需要喚起につながった。

 

 結論としては、食品市場全体は、消費税増税前の駆け込み需要や増税後の買い控えがあったが、これは一過性のもの。1997年の増税時との比較でいえば、物価指数上昇やボーナス増など経済状態そのものが異なり、生活者のニーズは「低価格」だけではなく多様化しているということになる。

 

 当社は、「ほんだし」や「Cook Do」の成功例をベースに引き続き、「お客様の多様化するニーズに驚きと感動」を提供すべく、製品戦略とマーケティング活動を実施していきたい。
 

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