錦織圭選手を観て
先週末に東京・有明コロシアムで開催された「デビスカップ ワールドグループ1回戦」(日本対カナダ戦)は、錦織圭選手の活躍で日本が同グループでの初勝利を挙げた。
この試合を観戦し、身にしみて感じたのは、錦織選手が持つとてつもない才能だ。
「何をいまさら」と思われるに違いないが、いまさらながら「百聞は一見にしかず」であることを思い知らされた。
1球1球の勢いや凄まじさが、素人に毛の生えたような私にでも分かる。
それは単純にフラット、トップスピン、スライスといった球種の違いではなく、球質に圧倒的な違いがあるのだ。彼だけ違う競技をしているようにさえ見えた。
現在、錦織選手はATPランキング(世界ランキング)17位。だが、先月、豪メルボルンで開かれたオーストラリアオープンで、同1位のラファエル・ナダル選手を苦しめたように、いつでも世界の頂点を狙える位置にいる。
一方、デビスカップに出場した日本とカナダのその他の選手は、同ランキングが100位台。もちろん世界の100位なのだから、大変強いプレイヤーではあるのだけれども、それらの選手のプレーには大きな個性は見出しにくく、私が教わっている日本ランキング30位~40位のテニスコーチをさらに上手にすると、彼らになるような気がした。
ところが錦織選手はものが違う。
移動手段とスピードでたとえるなら〈馬〉と〈自動車〉くらいの差だ。
幼少期に錦織選手を教えたことがある松岡修造さんは、「ケイは教えられなくてもできる子だった」と当時を振り返っているが、努力だけでは克服できない領域というものは確実にあるということなのだろう。
ただ、天賦の才も磨かなければ、〈馬〉にも勝てない。
若い若いと思っていた錦織選手も24歳。いよいよ選手としての充実期を迎える。チャンスは目の前にあるのだから、ぜひ、世界の頂点に立って欲しい。
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