PLANT史
PLANTについて書いた昨日のBLOGが好評でしたので、本日もPLANTについて記したいと思います。
PLANT(福井県/三ツ田勝規社長)の前身である、みったは、家業を実父から受け継いだ三ツ田勝規社長が1982年に家庭用燃料の専門店を株式会社化するところからスタートした。
当初は、スーパードラッグストアを志向し、食品スーパー(SM)に隣接する立地に700㎡規模の「ジョイフルストアー」を展開。SMの商品補完機能業態として4店舗を出店した。
しかしSMが隣接するような場所に余分な土地はそうそうなく、チェーン化を図っていくことは難しかった。
そこで単店でも集客力のあるホームセンター(HC)業態への方向転換を図り、1990年、福井県鯖江市に1号店を出店した。ところがHCはすぐに壁にぶち当たることになる。
耐久消費財を主力商品として扱うために開業直後はよく売れるのだが、購買が一巡する2年目以降はなかなか伸びなかったのだ。
三ツ田社長はHC業態のMD(商品政策)の試行錯誤を繰り返した。
直接、消費者に聞いてみると「食品はないのか?」「お菓子はないのか?」という意見が圧倒的に多かった。試しにパンや菓子などを置くと、飛ぶように売れた。
HC商材に加え、生活雑貨、食品、コモディティ衣料などを次々とラインロビングし、廉価販売することでみったは消費者から大きく支持を集めていった。
米国ウォルマートのスーパーセンターを視察して衝撃を受けた三ツ田社長は、1993年、福井県坂井郡にHCにSMを付加した「スーパーセンターPLANT-2坂井店」をオープンした。3年間にわたって磨きをかけてきたHCの売場は完成の域に達しているという自負があった。
その一方、設備や商品管理、オペレーションなどすべてがHCとは異なるSMの売場づくりは困難を極めた。極力リスクを負わないように冷蔵設備は中古品を低価格で買い取り導入し、売場の片隅に食品を並べた。食品のバイヤーは非食品と兼任していた。
加工食品と日配品は安売りで何とか形を取り繕うことができたが、生鮮食品は仕入から商品管理に至るまで初めてのチャレンジ。バイヤーに目利きの力がなかったので生鮮食品の仕入は問屋に依存せざるを得なかった。
とにかく消費者の声に耳を傾け、細かい数字は気にせずに、商品を揃えて売りまくった。売ることに全力を集中し、売れる価格ありきで値入を決めた。
1997年、「スーパーセンターPLANT‐3津幡店」(石川県)をオープンする。
この時、地元SMが業務縮小のために人員削減を実施したのを受け、SM企業から大量に人材を採用した。訓練を積んだプロが加わったことにより、みったの生鮮のマーチャンダイジングは目を見張るような速度でレベルアップ。売上増加にともない仕入先も増えていった。
2000年に出店した「スーパーセンターPLANT‐3滑川店」(富山県)は、売場面積1万2228㎡。国道やバイパスに挟まれる立地のために商圏人口は12万~13万人。3300㎡の食品売場と9000㎡の非食品売場で構成され、初年度に72億円を売り上げ、完全に自信をつけた。なお、食品の売上構成は60%、非食品は40%だった。
そして2003年3月、社名をPLANTに変更。
2003年8月には新潟県見附市の国道8号沿いに売場面積1万6500㎡で駐車台数1700台の「スーパーセンターPLANT‐5見附店」をオープンした。
以降、2004年に「スーパーセンターPLANT‐5境港店」(鳥取県)、「スーパーセンターPLANT-5刈羽店」(新潟県)。2005年には、同社最大規模となる「スーパーセンターPLANT-6瑞穂店」(岐阜県)と「スーパーセンターPLANT-5横越店」(新潟県)。2006年は、「スーパーセンターPLANT-5大玉店」(福島県)、「スーパーセンターPLANT‐3清水店」(福井県)。2008年、「スーパーセンターPLANT-4大熊店」(福島県)、「スーパーセンターPLANT-3福知山店」(京都府)、「スーパーセンターPLANT-5鏡野店」(岡山県)――という具合にコンスタントに出店を継続してきた。
その間、新潟県を襲った2度の大地震や東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、店舗の休業や休止などの不幸に見舞われたものの、出店を抑制し、既存店舗の強化を図ることで何とか乗り切った。
ただし、将来を展望していくと、PLANTを取り巻く環境は必ずしも順風満帆とは言えない。
高齢社会が進展する現在、「巨大店舗は不利」という見方があったり、アマゾンなどのEコマース小売業との新しい競争局面が待ち受けることになるからだ。
しかしながら、PLANTは、それらにひるむことなく、スーパーセンターを「暮らしの拠りどころとなる」店舗として、東証一部上場にも浮かれることなく、これまで以上に磨きをかけていくのだという。
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