自学自習
5月23日の『カンブリア宮殿』(テレビ東京)は、教室数1万6000ヵ所、生徒数149万人という日本最大の学習塾「公文」(公文教育研究会〈大阪府/角田秋生社長〉)を取り上げていた。同塾の大きな特徴は、《自学自習》にある。教師が黒板を使って教えるのではなく、自分で考え、自分で解く、という意味だ。「自分で解かないと身につかない。自分で解けば忘れない」と言った教師の言葉が印象的だった。
そういえば、解剖学者であり、ベストセラー『バカの壁』(新潮社)の著者である養老孟司さんもまったく同じことを言っていたことを思い出した。「学生の頃、幾何学などの難問は自分で解いたものだ。教わってしまうとその時は覚えているけれども、次の日には忘れてしまう。悶々とした中で、難問に向き合うことには体力がいるが、とても大事なことだ」。
今の世の中は、『Google(グーグル)』や『Yahoo!(ヤフー)』で検索すれば、大抵の問題についての答えは明らかになる。それはそれで便利なことなのだが、電話番号や住所、郵便番号を覚えなくなったことを挙げるまでもなく、過去との比較で言えば、脳みその中のどこかは退化しているに違いない。現代人にとっては、公文同様、意識してググらないようにする時間をキープすることも大切なのではないか、と考えさせられた。
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