2013年 定時株主総会でのイオン岡田元也社長発言(上)

2013/05/21 00:00
Pocket

イオン(千葉県/岡田元也社長)の2013年2月期の業績(連結)は、営業収益が5兆6853億円(対前期比8.8%増)、営業利益は1909億円(同3.8%減)、経常利益は2129億円(同0.3%増)、当期純利益は747億円(同11.9%増)だった。連結営業収益、連結経常利益、当期純利益は過去最高を記録。5月16日に第88期定時株主総会(@幕張メッセ)の壇上に立った岡田社長は何を語ったか?(談:文責・千田直哉)

 

●2012年度決算について

 

「先日、若手の社員から『イオンは、絶好調のように報道されているけれども、自分の体感とは随分違う』と言われた。その通りだ。イオンの連結営業利益は1909億円。目標数字は2150億円なので約200億円不足している。もっと問題なのは、社内予算は2500億円だったことだ。その意味からすると2012年度は深く恥じ入り、反省しなければいけない。とくに、イオンリテール(千葉県/梅本和典社長)、ミニストップ(千葉県/阿部信行社長)、マックスバリュ東海(静岡県/寺島晋社長)、マックスバリュ西日本(広島県/岩本隆雄社長)、CFSコーポレーション(静岡県/石田岳彦社長)…これら企業の社内目標に対する達成率は半分ほどだった。これら企業については、新しい取り組みをスタートさせたところだ」

 

●GMS(総合スーパー)改革について

 

「GMSは2011年度に発生した東日本大震災後の“特需”によって、実態が見えにくくなった。業態としてのGMSのピークは1990年代。同業他社との比較で言えば衰退の度合いは小さいと思う。しかし、GMSが独占していた衣料品や住居関連品の分野には、専門店が進出してきて、シェアを取られた。お客様の変化への対応が遅れてしまい、結果としてお客様のニーズと品揃えとのズレが大きくなった。それが問題の根本である」

 

「その中で、“総合店”の終焉、というような議論がまことしやかに展開されている。確かに、“従前の総合店”にとどまっている以上、そうした批判を甘受せざるを得ないが、“今の総合店”に変身できるのであれば、終わりはない。それが何であるかを追及し、具現化することに現在は取り組んでいる」

 

「2013年度、また2014年度を初年度とする新中期3ヵ年計画では、GMS改革の第2フェーズと位置づける。第2フェーズの改革は3つの柱から構成される。1つは足元の業績改善。2つにはイオンリテールの企業としての経営品質向上。3つにはお客様ニーズに適合した売場への変革だ。今年は新社長としてイオンディライト(大阪府/中山一平社長)から梅本和典氏を迎え、その他の役員にもグループ企業の社長経験者を数多く起用し、“オールイオン”の経営陣で現在、新たな改革に取り組んでいる」

 

「これから起こるネットビジネスとの全面戦争のことを考えると、ここで再び、イオンでの買い物の楽しさ、便利さ、お買い得感、といったものを復活させていかなければいけない」

 

●ダイエーについて

 

「ダイエー(東京都/桑原道夫社長)は2004年に産業再生機構入りした。これは銀行救済策だったと私は見ている。そこにダイエーのナンバーワン企業としてのプライドが重なって、再生機構入りを望んだのだろう。だが、実際の再生スキームは短期利益志向で、またそこに加わった様々な人達の個人功績第一主義があいまみえ、見掛け倒しの再建に終始してしまった。例えば、別会社をつくって余剰人員をそこに全部押し込めて、それで再生が完了したと発表していたようなところもあった」

 

「最後は総合商社である丸紅(東京都/國分文也社長)さんと小売業であるイオンの違いもあった。商品供給だけで小売業を再生することは考えられない。『仕入れてなんぼ』ではなく、『売ってなんぼ』が小売業であるからだ。今後、ダイエーの従業員とともにスムーズな再建を成し遂げていきたい」

 

「ダイエーを連結することによって売上高は約8000億円が付加されることになる。PB(プライベートブランド)のトップバリュの量的な拡大も図れていくだろう。また、ダイエーが展開しているPB商品のうち良いものについてはトップバリュ化していきたい」

 

●M&A(合併・買収)について

 

「イオンの拡大政策を憂慮する向きがないわけではない。ただ、我々は非常に効率的なM&Aを実施しているという自負がある。たとえば、テスコジャパンだ。世界3位、英国1位の小売企業であるテスコは、日本から今以上の損害が発生しないようにしたいと考えた。それが保証されれば、テスコの株主に説明がつくということでイオンへの売却を決めた。それで我々は、テスコの日本撤退の手伝いをした。その結果、我々がテスコに支払ったのは1円だった」

 

「ダイエーの株式の取得費用は、130億円強で、財務的影響はわずかだ。ダイエー連結化にともなう有利子負債は650億円程度を見込んでいるが、キャッシュマネジメントシステムの活用によって、資金の効率化を図り、またREIT(不動産投資信託)を行うことも予定しており、連結有利子負債(金融事業を除く)は1兆円以下にコントロールする」
 

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態