テレビ東京マーケティング
4月7日に放送されたNHK大河ドラマ『八重の桜』(第14話)の視聴率は、同作スタート以来、最低となる11.7%(関東地区:ビデオリサーチ調べ)だった。「昨年の『平清盛』に次いで低空飛行が続くのでは」と関係者はさぞ気を揉んでいることだろう。
大河ドラマ不振の裏で抜群の存在感を見せているのは、テレビ東京だ。同日放送の『モヤモヤさまぁ~ず2』は、大江麻理子アナウンサーの卒業記念特番で12.8%(同)という数字を叩き出している。
そんなテレビ東京の奮闘ぶりを耳にして、「そういえば…」と我を振り返れば、何かにつけ同局の番組を観ていることに気づく。
「平均視聴率は全日で2%台、ゴールデンタイムで5~6%と、他の在京キー4局に比べて全体の視聴率が振るわないため、視聴率の低い他局に対し『振り向けばそこにテレビ東京』といわれる」(ウィキペディア)ことも今は昔だ。
私が良く観る番組を列挙するなら、
『ワールドビジネスサテライト』(月‐金:23時~)、『ガイアの夜明け』(火:22時~)、『カンブリア宮殿』(木:22時~)、『田勢康弘の週刊ニュース』(土:11時30分~)、『マネーの羅針盤』(土:12時5分~)、『ウイニング競馬』(土:15時~)、『土曜スペシャル』(土:18時30分~)、『出没! アド街ック天国』(土:21時~)、『ソロモン流』(日:21時54分~)
といった感じだ。
また、私はそれほど観ることはないものの、アニメにも力を入れており、深夜帯に放送した『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)のほか、『ポケットモンスター』(1997)、『テニスの王子様』(2001)、『新テニスの王子様』(2012)などのヒット作も多い。
さて、視聴者として独断的に同局の特徴を記すと、
① 隙間(ニッチェ)狙い
② 逆張り(他の民間放送局との異質化)
③ 低予算
④ 長時間収録
⑤ 取材(ロケ)重視
⑥ 硬派
⑦ 長寿番組
⑧ 芸人への低依存度
⑨ 忙しくないタレントの起用
などを挙げることができる。
独自のマーケティングと番組づくりの方針を持っているものとみられ、その動きはすべての企業にとって参考になるはずだ。
同局を象徴する時間帯は平日の17時から19時だ。民放各局が競い合って、今日1日にあったニュースを流す夕刻に、テレビ東京は、アニメやAKB48などを「我関せず」とばかりに放送している。
全局が通常放送を取りやめるような大事件が起こっても、テレビ東京だけは別の番組を流しているということは日常茶飯事であり、驚くべきような事態ではない。
そうだ。もうひとつ思い出した。
取材先で耳にした話では、『ガイアの夜明け』や『カンブリア宮殿』は、小誌『チェーンストアエイジ』をタネ本(情報源)のひとつにしているのだそうだ。「『チェーンストアエイジ』で読んだのだが…」と取材を申し込んでいるという。
そして、そんなところにも同局の素晴らしさを垣間見るのである(笑)。
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