3代目三遊亭歌橘さんの修業時代
落語家3代目三遊亭歌橘さんの修業時代の話――。
「師匠の3代目三遊亭圓歌は、通い弟子が主流の落語会で唯一、内弟子制度を採っているんですよ。圓歌の自宅の3階に弟子たちは居住し、朝は6時に起床。圓歌が起きてくる10時までに、掃除など与えられた日常の仕事を終わらせなければいけません」
「掃除のチェックは圓歌はもとより、おかみさんが厳しく、やかましかったです。チェックするポイントが2人とも違うことには辟易とさせられました。圓歌が窓ガラスの汚れを指摘するとおかみさんは床の拭き方を問題視するなどその時によってもまったく違うんです。言われるのが嫌でドキドキしながら身構えていたものです」
「ある日、圓歌が教えてくれたのは、それは笑いのポイントと一緒だよ、ということです。掃除のチェックポイントと同じようにお客様それぞれの笑いのツボは異なると言うんです。それをいかに理解し、多くの人を笑わせることができるかが大事であり、その追求が芸事を高めていくんだと。たかが日常の掃除ひとつとっても、奥が深く、バカにしてはいけないと思い知らされたものです」
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