早明戦である
《早明戦》である。
ラグビーでも野球でもない。
受験者数の《早明戦》である。
2010年に明治大学が早稲田大学を僅差で破って、私立大学受験者数の首位の座を奪取すると、その余勢を駆ってさらに差をつけ、2012年は3年連続で1位の座を防衛した。
明治大学は、洗練されたキャンパスに加え、近年、タレントの山下智久さんや俳優の向井理さん、北川景子さん、井上真央さんなどのOB・OGを輩出しており、女子高生を中心にイメージもグンと上がっている。
明治大学の戦術は受験者主役、と明快だ。
都内だけではなく各地方で受験をできるようにしたり、「全学部統一入試」として1回の受験で複数の学部学科を志望できるようにしたり、入学金の振込期限を遅らせたり…確実に訪れている少子化の波を正面から受け止め、競争優位に立つための手立てを模索している。
もっとも旧態依然としているような印象のある学校法人にマーケティング発想を取り込んだことは大変意義深い。
こうした状況を見せつけられるにつけ、早稲田大学のOBの中には「受験生に日和ってまでバンカラな早稲田大学のイメージを壊す必要はない」と豪語する者もいる。
半面では、「早稲田大学のマーケティングの先生は何をやっているんでしょうかね?」と首をひねる小売業経営者のOBもおり、熾烈を極める《早明戦》の見方は様々だ。
確実に言えるのは、「世の中が変化しているのだから、何かを変えなければいけない」という、普通のことである。
(『チェーンストアエイジ』誌2012年5月15日号)
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