フジ尾﨑英雄社長余話
4月4日のBLOGでフジ(愛媛県)の尾﨑英雄社長の話を書いた。本日は、その続きです。(談:文責・千田直哉)
その1:フジの初代社長である故・尾山謙造氏は『商いとは売ることなり』という単行本を残した。その中で「売場の陳列が乱れたからと言って嘆いてはいけない」と書いている。
陳列の乱れとは、遠くから来店されたお客様が買うか買わないかを迷って、商品をいろいろと触った結果だからだ。
「だから商品整理をすることは本当にありがたいものだと思ってほしい」と続く。
その2:フジは、「フジスポーツクラブフィッタ」というフィットネス事業を展開している。
ランニングマシーンを使うと多くの汗が流れ落ち、器具や床に飛び散る。その際、「セルフサービスで汗を備え付けのタオルで拭いてください」と表示がある。
ただ、ときどき汗が拭かれずにそのままになっていることがある。
それを見て従業員はどう考えるのか。「いい汗かいてもらってありがとうございます」とお客様に代わって汗を拭いてあげられるか? そこが問題だ。
その3:松山市内でゴミ出しが分別化されたことを契機に、店頭からゴミ箱がパッと消えたことがある。ゴミ箱を一斉に、店舗のバックヤードに隠してしまったのだ。
理由を聞けば、「お客さまが自宅のゴミを持ってきて、捨てていくから店頭からゴミ箱を外した」と言う。
でも私は、「ゴミを持ってくるのも来店動機になるのだから置いておくべきだ」と反論した。
「すると社長はむちゃくちゃなことを言う」と逆に強い口調で返された。
しかし、本当にそれが理由だとするなら、「店が汚れるからお客さまに靴を脱いで入店してくれ!」と言っているのと一緒だ。
「ゴミを持って来店してもらって、それでいいじゃないか。それが繁盛している証拠。そうじゃなければ小売業なんてやめてしまえ」と言い返した。
尾﨑社長は、今挙げたような例証は、従業員に対して強権を使って、強制的にやらせることは簡単にできる、と言う。
けれども、お客様第一で自発的にできる人を育成していくのは難しい。だからこそ、こうした人材を1人でも増やしていくことがフジの強さにつながるのだと確信しているのである。
※『チェーンストアエイジ』誌2012年4月15日号(4月15日発売)では、THE INTERVIEWのコーナーで尾﨑英雄フジ社長のインタビューを掲載しています。ぜひ、ご一読ください。
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