また舌禍事件だ
また、舌禍事件だ。
11月29日、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり不適切な発言をした防衛省の田中聡沖縄防衛局長が更迭を食らった。
今回もまたオフレコを前提にした場での発言を記者が原稿にして出してしまったもの――。
村井嘉浩宮城県知事への傲岸不遜な態度を放映され辞任に追い込まれた松本龍前復興担当大臣や「死の町」発言で辞任した鉢呂吉雄前経済産業大臣と似たようなケースである。
報じられた田中氏の発言内容は言語道断。更迭は当然の結果と言える。
ただ、オフレコを次の大きなスクープに向けた信頼関係構築の場と位置付けるのであれば、記者陣は功名心を抑え、急いて書かずに貸しておいてもよかったかもしれない、というのが正直な感想だ。
そういえば、と思い出すのは、前自由民主党政権末期のことである。
力強く報道されたのは、麻生太郎元首相の漢字の読み間違いや言葉の使い間違いばかりで、政治の本質に関するニュースからはどんどん外れていった。
それらをスクープと言うには、あまりにも幼稚な話なのだが、すでに政権に見切りをつけ下ろしたいのか、大マスコミによる言葉尻を捕まえての揚げ足取りは、どんどんエスカレートしていった。
小学校時代の「道徳」の時間のような「絶対的な正義」を盾にした糾弾や批判や非難は、歯切れはいい。けれども、それだけに「もうおやめよ」と辟易とさせられるところもある。
そして、こういうことは“政権末期”の特徴的な現象なのだ、と覚えておきたい。
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