POSがあったら、こんなヒットはなかった?
演歌の売れ方は一種独特だ。
初登場でオリコン1位になることは、ほとんどなく、100位前後の順位をキープしているうちに、地方都市や有線放送などで火がつき、レコードやCDが徐々に売れ始める。
その後も、1位を獲得することはないけれども、長く10位以内を維持して、年間販売ランキングでは5位くらいに入るというものだ。
たとえば、『雨の慕情』(八代亜紀)の最高順位は9位、『大阪しぐれ』(都はるみ)は2位、『みちのくひとり旅』(山本譲二)は4位、『奥飛騨慕情』(竜鉄也)は2位、『時の流れに身をまかせ』(テレサテン)は6位、『命くれない』(瀬川瑛子)は2位、『夜桜お七』(坂本冬美)は24位…といった具合だ。
若い世代の方からは、「なに、それ?」と言われてしまいそうだが、アラフォー世代なら、少なくとも、一度や二度は耳にしている楽曲ばかりだろう。
ただ、レコード・CDの売上高はもちろん、カラオケ使用などの2次的な収入を含めば、ビジネスとしては、若者向けのポップスよりもまったく“おいしい商売”と言えそうだ。
ところが、もし、レコード・CD店にPOSが導入され、売れ筋のみを置いていたら、こうした楽曲がヒットすることはなかっただろうと思える。
レコード・CDと食品や生活雑貨を同じテーブルに乗せて議論することは意味がないことを承知の上であえていうが、POSがあることで、ロングセラーになる前に棚から外された商品がどれだけあるのかも真剣に考えてみたい。
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