時代は確実に変化しているから
「君子豹変す」。古人はうまいことを言ったものだ。
四字熟語の「朝礼暮改」は、「命令規則が頻繁に変わって一定しない」ことを意味し、以前は、悪い指導者のたとえに使われていた。しかし、臨機応変さやスピードが求められる現代ビジネスの世界では、当然のスタンスとして認められている。
これらを転じて解釈するならば、「人間は固執しやすいので気をつけよう」ということになるだろう。確かに自己否定をすることは難しい。まして、創業者のようにただ己の力のみを信じて一つの時代を築き上げた人物は、根底は頑固であり、譲れないことはきっぱりと拒絶する傾向が強い。
ただ、ひとつはっきりしているのは、そんな「ゆるぎない信念」とは裏腹に、時代は確実に変化し続けているということだ。
「成功の復讐」という表現があるように、信念に執着するがあまり、変化に対応できなくなってしまうことがビジネスの世界では致命傷につながる。
その意味で、改めて凄いと感心させられてしまうのがビートルズである。
ご存じ、ロックミュージックの先駆者であり、ロックをひとつのアートに高め、ロックの型をつくった創始者である。
このグループの凄さは、それだけにとどまらない。
自ら創始した古典派としてのロックを自らの手で創造的に破壊し、アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリ―・ハーツ・クラブバンド』では、ロマン派の領域に導いた。
いまなお、万人が彼らの歌声や演奏に心打たれるのは、彼らが常人に達成不可能な2つの背反する事柄を成し遂げたことに対する憧憬があるのかもしれない。
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