ゲームのルールをつくる企業(2)
3月4日のブログで、流通業の“勝ち組”企業の共通の特徴は、自社で競技種目のルールを創出していることにあると書いた。
もはや、自社が所属する業界の成長に相乗りする形での企業成長や存続はありえない。だからこそ、自社で競技種目のルールをつくり、独自性を前面に押し出すことが求められている。
“近代マーケティングの父”のフィリップ・コトラーは、市場参入者(=プレイヤー)を市場占有率に基づいて、(1)マーケットリーダー(飲料のコカ・コーラ、コンピュータソフトウエアのマイクロソフトなど)、(2)マーケットチャレンジャー(シェア拡大を目的に積極的な攻撃をリーダーに仕掛ける)、(3)マーケットフォローワー(静かにリーダーの後を追う)、(4)マーケットニッチャー(ニーズとターゲットを特化)と4つに分類している。
そして(1)マーケットリーダーであることは、すでに自社が競技種目のルールをつくっていることを意味している。また、(2)マーケットチャレンジャー、(3)マーケットフォローワーはマーケットリーダーと同じ土俵で戦っているので、自社でルールをつくっているとはいえない。
したがって、自社で競技種目をつくろうと考えるほとんどの企業は、(4)マーケットニッチャーを目指すべきだろう。
マーケットニッチャーが自社で競技種目のルールを創出するに際してのキーワードは、無限に存在する。たとえば、「地域密着」「EDLP」「カテゴリー特化」「SPA(製造小売業:Speciality store retailer of Private label Apparel)」「インターネットビジネス」「世代別商品政策」「大型店舗」「小型店舗」といった具合だ。
もちろん、独善的に自社で競技種目のルールを創出するだけでは駄目であり、それが市場に受け入れられなければ意味はない。
「わが社は現存人員で目いっぱい働いており、マーケットニッチャーとしての競技種目のルールを創出するだけの余力がない」。
こう考える経営者も、少なくないだろう。しかしながら、時間も余力もないのは、どの企業も同じこと。問題は、これをやるのかやらないのか、その二者択一なのである。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは