なぜ、『日刊スポーツ』紙が業界トップに君臨しているのか?

2011/10/19 07:10
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 スポーツの秋――。

 週末ともなれば、プロ、アマチュアを問わず、スポーツイベントは盛りだくさん。月曜日のスポーツ紙の紙面は、新聞各社の特徴を打ち出すには絶好の場であり、販売部数アップのチャンスになる。 おのずとスポーツ紙各社の紙面構成は、平日よりも力が入る。

 

 さて、この週末のイベントから、10月17日(月)の1面トップ記事候補になると予想できたのは…

 

 ①巨人が優勝マジック1の中日に3連勝でクライマックスシリーズ進出決定

 ②阪神、クライマックスシリーズ進出逃がす

 ③阪神、新監督候補に現日本ハム監督の梨田昌孝氏

 ④楽天のマー君が19勝。勝ち星、勝率7割9分2厘、防御率1.27で投手3冠

 ⑤秋競馬のGⅠレース、秋華賞でアヴェンチュラが勝利

 ⑥俳優黒田アーサーさん(50)が17才年下の一般女性と結婚

 ⑦内村航平選手が世界選手権個人鉄棒で銅メダル

 

 の7本のニュースのいずれかだった。

 

 日曜日の午後から深夜にかけては、同業他社よりも、一歩でも抜きんでた情報を集めようと、各社の記者たちは、最後の力を振り絞って東奔西走していたに違いない。

 

 ところが、月曜日の朝に駅の売店に各社の紙面が並んで驚いたのは、『日刊スポーツ』紙のトップ記事だった。

 

 <日本ハムの新監督に元ヤクルトの栗山英樹氏>とある。

 

 7本の候補記事のいずれもトップ扱いにせず、スクープ記事を持ってきたわけだ。

 

 通常、記者は、ルーチンワークに追われ、締切を落とさないことを心掛けているものだ。一心不乱に目いっぱいやっているから、締切間際の各社の記者は、へとへとの状態と言っていい。

 

 だからこそ、そこから、もう一歩、踏み込む気力を持てなければ、『日刊スポーツ』紙のような離れ業はできない。

 そして、そのもう一歩が同業他紙との圧倒的な差別化につながる。

 

 その気力は企業風土からくるものなのか、物理的な記者の多さからくるものなのか、それ以外のものなのかは知る由もないが、こうした努力の積み重ねが『日刊スポーツ』紙を“1強全弱”と言われるスポーツ新聞界のトップに君臨させているのだ、と納得した。

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