「追われている」と感じたら下り坂
追いかける立場(=王者)と追われる立場(=挑戦者)はどちらがきついかを考えた。
どちらも同じ、という考え方もあるかもしれないが、私は圧倒的に王者のほうがきついと思う。
挑戦者は、これまでの王者の闘い方を見てきたはずだ。また、挑戦者は、たとえ負けても「下馬評通り」と思われる分、気が楽だ。
ところが王者はそうはいかない。誰もが、勝つと思っている。その中で勝たなければいけないというプレッシャーは尋常ではないはずだ。
もっとつらいのは王者は、常に老いゆく自分と闘わなければいけないことだ。
しかも、王者は、力があるゆえに、自分の老化や能力低下を敏感に察知できる。
実は、王者が「追われている」と感じるのは、自分の能力劣化を実感しているときである。挑戦者は常に王者を意識するかもしれないが、王者が「追われている」と意識するのは王座陥落危機の時だ。
だから、王者は楽勝と考えている試合ならば、追われているということさえも意識することはない。「追われている」と意識し始めるということは、自分が下り坂にいることを自覚しているのである。
スーパージョッキー、武豊さん、フィギュアスケートの星、浅田真央さんのスランプがあらゆるところで報じられている。
果たして、2人は、いま「追われている」と感じているのだろうか?
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