「高齢者」「“ポピュラープライス”」「遊興」の合流点
取材のために訪れた苫小牧市は人口減少が著しい北海道内では、珍しく人口増加している都市だ。2010年12月現在の人口総数は17万4138人で対前年0.1%増。人口、世帯数ともに過去最高を記録している。
ふらりと入ったのは、駅前のショッピングセンター――。
1998年に長崎屋苫小牧店として開業し、2010年7月にMEGAドン・キホーテ苫小牧店としてリニューアルオープンされたものだ。
集客力は大いにあるようで、平日の昼間の時間帯でも老若男女の多くのお客の姿を目にすることができる。
ただ2005年にイオンが市の郊外にイオン苫小牧ショッピングセンターをオープンしてからは、駅前商業施設からの消費流出が続き、苦戦を強いられていると聞いた。
さて、駅前ショッピングセンターの中を探索すると、3階のゲームセンターで異様な光景に出くわした。
60歳以上と見られる老人の男女がたむろして、景品も何もないパチンコなどのゲームに興じているのである。
苫小牧市の60歳以上の人口構成比率は29.4%と低くはないが、「ゲームセンター=若者のもの」、ととらえがちな私にとっては驚きだった。
そういえば、ショッピングセンター内で「室内ゆうえんち」や「アミューズメント施設」の運営を手掛けるイオンファンタジー(千葉県/土谷美津子社長)は、2010年度の決算発表時に「お客様の高齢化が進んでいるので対応しなければいけない」と話していたのを思い出した。
しかし、実際に目の当たりにしてしまうとちょっと考えさせられてしまう。
昨日のBLOGでは、“ポピュラープライス”(大多数の客がその価格なら気軽に買える価格帯)について少し触れているけれども、高齢者が“ポピュラープライス”で遊べる場所がゲームセンターだけ、というのはあまりにも寂しい話だ。
しかし、発想を転換して考えるなら、「高齢者」「“ポピュラープライス”」「遊興」という3つのキーワードの合流点には、途方もないほど大きく、新しい需要が存在するような気がする。
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