東日本大震災 ホームセンターサンデー、がんばる
イオン(千葉県/岡田元也社長)グループのホームセンター企業サンデー(青森県/宮下直行社長)が東日本大震災で受けたダメージは甚大だった。
現在、連結で東北6県に80店舗(サンデー61店舗、連結子会社ジョイ〈山形県/阿部恵社長〉19店舗)を展開しているが、半数以上の47店舗が被災したのだ。
ボロボロに傷つきながらも、翌日の3月12日には、「通常営業」「店頭販売」を含めて72店舗を開いた。4月5日の段階では4店舗が「店頭販売」というところまで回復している(大船渡店(岩手県)のみが営業中止)。
サンデーは震災発生からの日数で区分して、ステージと与件、商品動向(=売れた商品)をまとめ発表しているのでここに記し、参考にしたい。
●第一ステージ(3月11日~14日:すぐに必要な商品が売れる)
与件:地震・津波発生、停電・断水、鉄道運休、高速道路通行止め、避難所生活
商品動向:①停電対応商品(電池、ライト、ランタン、ラジオ、携帯チャージャー、卓上コンロ、ガスボンベ、ポータルストーブ、ローソク、カイロ、湯たんぽ)、②断水対策商品(天然水、ウォータータンク)、③燃料買いだめ(灯油缶、ガソリン携行缶)、④食品・日用品買いだめ(3日目以降/コメ、カップラーメン、飲料水、ティッシュ、トイレロール、生理用品、洗剤、紙食器)
●第二ステージ(3月15日~19日:次に必要になる商品が売れる)
与件:電気・水道・ガスが復旧、流通ルート遮断により商品供給機能が混乱
商品動向:①ガソリン不足深刻化(自転車需要急進、11日~20日で6000台)、②ごみ・ガレキ撤収商品(ごみ袋、土嚢袋、米袋、1トンフレコン袋、軍手)、③日用品の買いだめ(ティッシュ、トイレロール、ラップ、ホイル、食器洗剤、洗濯洗剤、歯ブラシ)、④食品品薄になる
●第三ステージ(3月20日~24日:復興に向けて必要な商品が売れる)
与件:被災地の建物解体・撤収作業スタート、仮設住宅建設スタート、被災地以外の生活は日常化
商品動向:復旧進展(合板、セメント、シーリング、スコップ、一輪車、ロープ、シート、保安用品〈ヘルメット、メガネなど〉)、
●以後、販売伸長が予想される商品(衣類収納ケース、カーペット、寝具、キッチン用品、調理家電、清掃用品、洗濯用品、耐震用品、防災用品、保存食料、衛生用品)
●被災地以外の店舗の販売状況(彼岸用切り花対前年度比40%減)、引っ越し用梱包用品
サンデーは、最大の商品調達先だった宮城県が大きな被害を受けていたことから、商品調達ルートを変更して、商品確保に努めた。一時、発注に対する納品率が40%になったが現在は80%まで回復している。
たとえば、自転車は中国天津から40フィートコンテナ25台(5500台)を秋田港に荷付。乾電池は10トン車2台(9万2000パック)を大阪から岩手県の金ヶ崎DC(ディストリビューションセンター)に運んだ。また北海道苫小牧港から、ティッシュペーパー1万5000パック、トイレットペーパー2万パック、水2?×2万本を調達している。
同時に災害協定を結ぶ3県の11団体にレトルト食品、水ポリ缶、ブルーシートなど合計47万4176個の救援物資を供給した。これは現在も継続している。
商品の調達がままならない中でサンデーはライフライン機能としての役割を十分に果たしている。なお、同社の被害総額はいまのところ不明だ。
「被災地の復興に必要とされるホームセンター商材を安定供給し、一日でも早い復興を目指したい」と同社の名古屋則雄常務取締役は話した。
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