故渥美俊一先生宅を訪ねる
2010年7月21日、日本リテイリングセンターチーフコンサルタントの渥美俊一先生が急逝されてから1年弱――。
新盆を迎えた13日、渋谷区鉢山町の自宅を焼香に訪ねた。
ご家族との会話の中で出てきたのは、やはり東日本大震災の話題だ。
「もし渥美が生きていたならば、しゃかりきになって張り切ったことに違いない」と故人を偲んだのは、夫人の田鶴子さん。
渥美先生亡きあとも、その遺伝子は流通業各社に確実に受け継がれており、従業員が命がけでライフラインの死守に努めた企業が多かったことを遺影に報告することができた。
教え子の中でも、突出した動きを見せたのがイオン(千葉県/岡田元也社長)だろう。自社のサプライチェーンを駆使して、危険を顧みず、速攻で支援物資を自らの手で被災地に届けた。自社で出荷から荷降ろしまでを担当しているのだから、これ以上確実に救援物資を届ける手段はない。
ただ、「こうしたチェーンストアの頑張りが大きく報道されていないし、それほど評価されていない」と残念がるのは田鶴子さんだ。
「その通り」と頷いた私――。
これほどの大震災にたじろぐことなく、ライフラインを確保したことは、チェーンストア業界にとっては、大金字塔だ。
小売業の社会的地位向上を掲げる企業や団体は少なくないが、いまは、まさにそのチャンス。もっともっと、活躍の実態を自己主張していいような気がする。
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