『2030年のフード&アグリテック―農と食の未来を変える世界の先進ビジネス70』=書評

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野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社=編 佐藤光泰・石井佑基=著(同文館出版刊/2300円〈本体価格〉)

 「フード&アグリテック」は、農業用のドローンや、作物を育てる際に重要な日光や風向・風速、CO2や光合成の量などを一元管理するプラットフォーム、あるいは培養肉・植物肉などの代替肉など、農業と食の新たな技術・製品分野のことを指す。本書は、フード&アグリテックを「次世代ファーム」「農業ロボット」「生産プラットフォーム」「流通プラットフォーム」「アグリバイオ」の5分野に分類し、それぞれの市場動向や先進事例、2030年までの市場規模予測と事業展望を記した解説書だ。

 本書は各分野の市場概要を解説する第1部、フード&アグリテックを牽けん引いんする国内外の企業70社を紹介する第2部、各分野の30年までの市場展望とデジタルトランスフォーメーション時代の農業経営を俯ふ瞰かんする第3部で構成されている。このうち注目したいのは第2部で、世界の先進スタートアップ・企業70社の特徴やビジネスモデル、今後の計画、革新点などをまとめている。

 たとえば、木田屋商店(千葉県)は、食品スーパー2店舗を運営しながら13年に植物工場事業に参入した先進企業として紹介されている。同社は直営の植物工場を3カ所運営しているほか、立ち上げを支援した他社との連携プラントが7カ所ある。製造費用を削減するため、徹底した技術改良や運営改善に取り組んでいるのが特徴だ。

 国内首位の農機メーカーであるクボタ(大阪府)は、14年から営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」の提供を開始。田畑や農業資材などのデータをモバイル管理できるほか、これらデータと農機を連携させ、KSASで立てた施肥計画などを実行できるのが特徴だ。

 海外企業では、植物肉開発のBeyond Meat (ビヨンド・ミート:米国)をはじめ、中国最大規模の食材ECプラットフォーマーのMeicai(メイツァイ)、スペインで3Dフードプリンタ開発を手掛けるN o v aMeat (ノヴァ・ミート)など、数多くの企業が掲載されている。

 著者は、フード&アグリテックの19年の国内市場規模を2526億円と推計しており、30年には1兆6351億円になると予想している。今後大幅な市場拡大が見込まれるフード&アグリテックの世界を知るためには、本書が大きな手助けになるだろう。

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2030年のフード&アグリテック ―農と食の未来を変える世界の先進ビジネス70―

 

 

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