週末読書おすすめの一冊:思考をクリアにし、現代社会の問題を理解する
“21 Lessons” -21世紀の人類のための21の思考 -(河出書房新社)
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ/訳:柴田裕之
本書はイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが「サピエンス全史」(過去)、「ホモデウス」(未来)に続いて、「今、ここ」にフォーカスする。全部で21の重要テーマについて、どのように思考し、行動すべきかを解説していく。
テーマとして挙げるものはすべて、現代における具体的かつ多くの人に当てはまるであろう問題である。なぜ人はフェイクニュースを簡単に信じてしまうのか? なぜ人は時として合理的な判断ができなくなるのか? 著者はさまざまな視点からその本質的な原因を浮かび上がらせ、理解に導いてくれる。
そしてなにより著者がユニークなのは、読者に行動を促すところだ。本書の目的として著者は、「さらなる思考を促し、現代の主要な議論のいくつかに読者が参加するのを助けることにある」としている。多くの課題に対して、自分達には荷が重すぎる、問題との関係性が薄い。そんな大多数となりえる人々に理解を与え、問題を「自分事」として扱えるようにする。
重要な課題としてテーマに「謙虚さ」を挙げる著者の姿勢は、日本人のビジネスパーソンにとっても、多くの部分で共感できるはずだ。ユーモアや比喩を交えて、わかりやすく教えてくれる。そしてなによりも、一方的な批判はない。行き詰ったときに思考をクリアにする、そんなときにそっと手に取りたくなるような名著である。
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