週末読書おすすめの一冊:「サイボウズ式」新しい組織の在り方とは?
最軽量のマネジメント(サイボウズ式ブックス)
著者:山田理(サイボウズ株式会社取締役副社長)
中間管理職という言葉は以前からあった。そして、その言葉を意味するものは「板挟み」。
サイボウズの出版事業の第1作目として発刊された「最軽量のマネジメント」。著者はサイボウズ副社長山田理氏。社員数十数名のベンチャーから、800名規模の現在に至るまでの山田氏の実体験をもとに導き出した「マネジャーの教科書」といえる。
一時は離職率28%をたたき出したというサイボウズ。本書ではその原因を「ベンチャー気質が抜けない行き過ぎた成果至上主義」と結論付け、生々しいエピソードをもとに当時の状況と、離職率4%に立て直すまでの変遷を回顧している。
著者は本書の中で「マネジャーの在り方」に多くの解決策を提示している。
いままでの組織では当たり前であった「トーナメント表のような組織図」。インターネット普及前は「情報」は非常に価値があり、その「情報」を取得するためには、これまでの組織の在り方が一番効率のいい方法であった。しかし、インターネットが普及した現在では「情報」は容易に取得できる。つまり、「情報」は役職関係なく持っている時代である。
こうなるとマネジャー、古い言い方?でいう「中間管理職」は大変である。「こんなことも知らないのか?」「トップはこんなことを発信しているのに…」。こうしてマネジャーと社員との心理的な断絶が生まれてくることは目に見えてくる。まさに中間管理職の悲哀。
解決策として提示されていることは、IT企業ならではの「ITを駆使して」や、「ツールを使って」解決する、ということではない。かくいう筆者もタイトルではサイボウズならではの解決策でしょ?と思っていたが決してそうではなく、マネジャーと社員、1to1の関係の中で起こる、ある意味でIT企業っぽくない、人間味のある解決策が目白押しであった。
タイトルの「最軽量」とは?サブタイトルの「マネジャーにすべてを背負わせるのはもうやめよう。」とは?キーワードは「公明正大」と「100人100通り」。
他のビジネス書にある「組織論」「チーム論」とは一線を画す、読み終えたあとに少し暖かくなる、珍しいビジネス書である。