『SDGs入門』(日経文庫)村上芽・渡辺珠子=著 日本経済新聞出版社刊 900円(本体価格)

2019/10/15 00:00
    ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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    SDGs入門

    ここ数年で「SDGs」という言葉をニュースや新聞などで目にする機会が増えてきた。

    SDGsとは何なのか。具体的に何をすればいいのか。そんな“SDGs初心者”に向けた、タイトルの通り入門書となるのが本書である。

    SDGsについて簡単におさらいしておこう。SDGsとは「SustainableDevelopment Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」を意味する。ちなみに、最後の「s」は小文字で複数形をあらわし、読み方は「エスディージーズ」となる。

    SDGsはビジネスにどう関係してくるのか──。本書が指摘するのは「若い世代ほど(SDGsへの)関心が高い」という点だ。20~30代を中心とした「ミレニアル世代」「Z世代」と呼ばれる世代がSDGsに対して強い関心を持っているという。

    小学校において国際・平和・環境などのテーマについて学習する「総合的な学習の時間」が導入されたのが2002年のこと。15年に国連サミットでSDGsが採択されてからは、高校の教材や授業にも取り入れられるようになっており、若い世代のSDGsへの関心は(それより上の世代の)想像以上に高いことを念頭に入れたほうがよさそうだ。

    それを踏まえ、本書の著者はSDGsが「人材獲得」において有効であると述べている。こうした考えは、流行に乗っかった「人寄せ」と批判されるかもしれないが、若い世代の多くが「今さえよければいい」と目先の利益を優先する姿勢に対して批判的な目線を持っていると認識すべきだと本書は指摘する。

    若い世代の就職先選びにおいて、「自分たちの未来への共感があるかどうか」が重要になっている。

    それにSDGsが目標年とする2030年は、若い世代、とくに今の20代からすれば「自分が働き盛りを迎える年」である。決して遠い未来の話ではない。

    昨今の情勢に目を向けると、2019年9月に国連の「気候行動サミット」が開かれ、温暖化ガスの排出に関する議論が世界的に巻き起こっている。サステナビリティに向けた運動が国際的なうねりとなる今、SDGsの重要性を本書で再確認してはどうだろうか。

    『ダイヤモンド・チェーンストア』2019年10月15日号掲載)

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