オススメの一冊、『魚屋は真夜中に刺身を引き始める 鮮魚ビジネス革新の舞台裏』

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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『魚屋は真夜中に刺身を引き始める 鮮魚ビジネス革新の舞台裏』
『魚屋は真夜中に刺身を引き始める 鮮魚ビジネス革新の舞台裏』
織茂信尋=著/ダイヤモンド社刊/1650円(税込)

 日本はかつて水産大国で漁獲量も世界一だったが、近年はピーク時の約4分の1にまで減少している。魚介類の消費量も減り、2000年代後半を境に肉の消費量が魚を上回るようになってしまった。食品スーパー(SM)においても、生鮮3部門の中で水産部門は最も売上高構成比が低い。魚離れに加え、仕入れの不安定さや人材不足などさまざまな問題から、利益確保がとくに難しい部門ともいわれている。このように、日本の水産業界の現状は決して順調ではない。本書は、こうした逆風のなか、赤字経営が続いていた東京・杉並の老舗鮮魚専門店、東信水産を復活させた4代目社長の織茂信尋氏による鮮魚ビジネス改革の詳細を記した一冊である。

 本書は10章構成となっている。各章では、日本の水産業界の歴史を振り返りながら、養殖や冷凍食品、HACCP、デジタルトランスフォーメーション(DX)、消費者の生活様式の変化など現在の鮮魚ビジネスの実態を俯瞰しつつ、著者がどのように東信水産を変革させたかを詳しく説明している。

 第7章「ITによる化学変化 スピードアップした経営判断と人の成長」では、著者がDXによってどのような改革を行ったかを解説している。著者が東信水産に入社したころ、各店舗の1日の売上結果は店長が手作業で伝票処理を行っていたため、本部に伝わるまでに2日もかかっていたという。これではスピード感をもった経営判断ができないと考えた著者は、各店舗の売上や在庫情報、勤怠スケジュールなどをリアルタイムで共有できるシステムの開発に取り組んだ。これにより、経営判断のスピードが格段に上がり、以前と比較して約1.5日早くなったという。また、iPadを活用して各店舗が商品の盛り付けや売場の写真を自主的に共有するなどの副次的効果もみられた。各店舗間の学び合いが進み、業務へのモチベーションも高まっている。

 本書は鮮魚専門店やSMの水産部門など、水産業界で働くすべての人にとって新たな知見を与えてくれる一冊となるだろう。

 

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