日本能率協会 理事長 中村 正己
40回目を迎える「FOODEX JAPAN 2015」アジア食市場の“ハブ”として日本からの輸出も視野に入れる!
37社の海外バイヤーを招聘
──海外からの来場者数も年々増え、前回は8000人を超えたと聞いています。FOODEX JAPANの特徴と成長要因をどのようにとらえていますか。
中村 日本能率協会が描くFOODEX JAPANのありたい姿は、質、量ともにアジアでナンバーワンの最高の展示会です。それをめざしてこの40年間取り組んできました。第1回からぶれていない点は、出展企業のビジネスチャンス創出を追求することです。
そのために最も必要なことは、購買決定権のある質の高い来場層にご来場いただき、商談していただくことです。
また、海外からもいかに質の高いバイヤーにお越しいただけるかが、展示会の品質を上げるカギとなります。そのためにFOODEX JAPANはアジア諸国から大手小売業や外食企業のバイヤーを長年にわたり招聘しています。そのようなパイプづくりをしていると、その後は毎年来場していただけるようになります。今回は前回よりも招聘企業を12社増やし、37社の海外バイヤーをお招きします。今後はほかの地域からも招聘して新たなパイプづくりをしていきたいと考えています。
このように、質の高いバイヤーに来ていただくことについては、長年、知恵と時間とお金を投資してきました。
とにかくビジネスの場として研ぎ澄ませたいのです。出展企業と来場されるバイヤーがしっかりと商談できる場づくりに取り組み続けてきました。
たとえば、大手小売業、外食産業のバイヤー専用商談室を09年から設置。個別企業のバイヤーに対して、出展者が商品を直接売り込める事前アポイント制の「逆商談会」を開催しています。
さらに10年からは、商談サポーター制度を導入しました。中間流通の方々が「FOODEX商談サポーター」として出展者と来場者とのスムーズな商談のお手伝いをする制度です。
活発なビジネスの場となることを重視
──展示会の中身をどのようにブラッシュアップしているのですか。
中村 展示会が終わると、国内外の出展企業や団体を訪問しています。出展成果や主催者企画など、さまざまな視点から展示会についての意見を聞かせていただき、その次の企画に反映させるためです。それを愚直に繰り返して40年やってきました。
褒めていただくよりも、「あれが足りなかった」「次はこうして欲しい」というお話を聞くことのほうが展示会としては成長できます。満点に近づけるために、出展者や来場者の声を真摯に受け止めて、毎年少しずつでも会場に反映させていくアクションが大切だと思います。
たとえば、いかに来場者の方々に見やすいゾーニングにするかについては、毎回ヒヤリングをさせていただいており、いろいろな知恵をいただきます。
そして、会場を商品ジャンルでまとめる、地域でまとめるなど、改善につぐ改善を重ねてきました。毎年、少しずつよくなっていったと思います。前回は、はじめて海外ゾーンをヨーロッパ、中北南米・オセアニア・アフリカ・中東、アジアごとのエリアでゾーニングしました。
要は、来場されたバイヤーがいかに効率的に商品を探せるか、見やすいか、対話しやすいかです。そのための空間づくりを年々進化させてきました。幕張メッセの1ホールから8ホールまでを使っていますから、広い会場の中でうまく時間を使って効率的に商談につなげていただきたいのです。
──今後、注目している分野、あるいは拡大していきたい分野は何ですか。
中村 FOODEX JAPANは、食品・飲料の専門展示会で、それに関連するすべてのジャンルを網羅してはいますが、まだ意外ととりこぼしはあるものです。今後、強化する余地のある領域として水産物がひとつあげられます。海外のおいしい魚をFOODEX JAPANの中でさらに紹介できればと思います。
海外へ出展の折衝にいく際には、「あなたの国のこの製品を出展してください。日本のマーケットはその食品を望んでいます」という提案の仕方をします。何でもいいから出展してもらうのではなく、その国の強みとなる食品を特定し、「その魅力を来場されるバイヤーへアピールすることで、ビジネスは成功します」と交渉します。
これもFOODEX JAPANが40年やり続けてきたことです。出展国数が83ヵ国・地域まで増えた理由は、この成果が評価され続けているからだと思います。
活発なビジネスの場となることをいちばん大事にしていますし、今後もそれをつくり上げていきたいと思っています。ぜひ今年もご期待ください。