セブン・ミールサービス代表取締役社長 青山 誠一
ご用聞きでオムニチャネル化の先鞭つける、めざすは究極の「近くて便利」

2014/02/16 17:00
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セブン-イレブンと原材料を共有

──セブン-イレブンとMDを統一する際、課題となったのはどのようなことでしたか。

 

青山 MDの統一に着手した当初は、たとえば店舗に商品が配送されたとき、それが店舗向けの商品なのか「セブンミール」の商品なのか店舗の従業員は判別できませんでした。それはバーコードがまったく同じだったからです。

 

 ですから商品のバーコードを店舗向けと「セブンミール」向けのものに変える応急処置を施して、一方ではシステム変更を大急ぎで進めました。当時はバーコードのシールを一つひとつの商品に貼ったりとても苦労しました。

 

 MD面に加えて、物流面の変更も行わなければなりませんでした。宅配は、注文件数が多いほど配達に時間がかかりますから、注文の商品を可能な限り早くお店に届けなければなりません。それには物流や製造の時間を調整する必要があります。お取引先さまと打ち合わせを繰り返し、生産の仕組みや工場の従業員の勤務時間も変更するなどして一つひとつ課題をクリアしてきました。この改善は現在でも継続して行っています。

 

 システムの変更作業は東日本大震災の影響で1年ほどストップしましたが、今ではスムーズに運営できています。

 

──食事宅配は、ワタミタクショク(東京都/吉田光宏社長)や生協に加えて、さまざまなプレイヤーが新規参入している市場です。「セブンミール」の強みは何ですか。

 

青山 商品や品揃え、価格などさまざまあります。

 

 たとえば「日替り弁当」のご飯の量は、190gと240gから選べるようになっています。しかも価格は同じです。競合は高齢者の適量といわれる150gのところがほとんどですから、シニア層だけでなく一般の働き盛りの男性にも満足いただけると自負しています。また、1食当たり500円で、1食単位から注文できるのも他社にはない要素です。加えて「セブンミール」は「正午頃までにお届け」「午後7時頃までにお届け」の1日2回の配達ですから、昼食時にも利用できます。他社は夕食用がほとんどなので、大きな強みになっていると思います。

 

──主力商品である「日替り弁当」や「お惣菜セット」は、セブン・ミールサービスが独自に開発しているのですか。

 

青山 そうではありません。

 

 当社には4人の商品開発担当者がいて、セブン-イレブンのマーチャンダイザーと共同で商品開発に当たっています。セブン-イレブンと原材料を共有し、製造原価に規模の経済が働くようにして価格を可能な限り低く抑えています。以前の「日替り弁当」は1食540円でしたが、セブン-イレブンと原材料を共有することなどにより価格を500円にすることができました。

 

 「日替り弁当」や「お惣菜セット」は、毎日食べていただく以上、健康的なメニューでなくてはなりません。管理栄養士が監修し、「日替り弁当」ならば1食当たり120gの野菜を使用しています。

ご用聞きで商機拡大

──11年3月の東日本大震災は、コンビニエンスストアの価値を消費者が再評価するきっかけにもなりました。食事宅配も消費者から広く注目を集めることになったと思います。

 

青山 おっしゃるとおりです。店舗に加えて、「セブンミール」の価値も加盟店さまやお客さまに再評価され、サービス実施店舗が大きく増えることになりました。

 

 東日本大震災後、加盟店さまはあらためて「近くて便利」とは何かを考え、お店をしっかり開けておくことが重要だと認識されました。そしてお店に来店することができないお客さまもいるのだから、直接、商品をお届けしたいという機運が加盟店さまのなかでも高まりました。それを受けて当社は12年5月にお届けスキームの見直しを思い切って行ったのです。

 

──それまで商品の配達はヤマト運輸(東京都/山内雅喜社長)に一部委託していましたが、12年5月からは店舗の従業員が行うようになりました。ねらいはどのようなところにあったのですか。

 

青山 これはセブン&アイ・ホールディングス(東京都/村田紀敏社長:以下、セブン&アイHD)グループ全体で取り組んでいる「オムニチャネル」戦略にも通じることです。

 

 セブン&アイHDの鈴木敏文会長は05年、「これからはご用聞きの時代だ」とグループ幹部に考えを明かしました。インターネット通販が急成長すれば、店舗でお客さまをただ待っているだけでは商売にならないだろう。だから小売業は外に打って出る必要があるということでした。

 

 お客さまのご自宅に商品をお届けする「セブンミール」は、配達の際にお客さまの要望を承ることができます。委託業者よりも、近くにある店舗の顔見知りの従業員なら安心して頼みごとができる。店舗の従業員は世間話ついでに、たとえば恵方巻きや重くてかさばるお米などもおすすめできる。また、生活での困りごとの解決策も提示できるかもしれません。このようなご用聞きサービスの実施を念頭に置き、店舗の従業員が配達するようにしたのです。

 

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