オイシックス代表取締役社長 髙島宏平
お客さまの期待値を超える商品・サービスを提供し、ナチュラル&オーガニック市場をさらに拡大する!
加工度を高めた生鮮食品を増やす
──今回の株式上場によって、今よりも多くの生活者がオイシックスを知ることになるでしょう。今後、注力する分野はどこになりますか。
髙島 いくつか考えています。
まず1つめですが、昨年、神奈川県海老名市にある物流センターを刷新しました。そこには農産物や畜産物を加工できる機能が備わっていますから、カット済みの野菜や半調理した生鮮食品をラインアップに加えていきます。
当社がメーンターゲットにしているのは、料理ができて、やる気もあるお客さまですが、それ以外の「料理を簡単につくりたい」「でも冷凍食品やお総菜はイヤ」「料理が簡単・便利にできるオーガニック食品があったらいいのに」と考えるお客さま向けに、もう少し簡単にご自宅で料理ができるようなサービス・商品を増やしていきたいと考えています。
そして2つめはリアル店舗の展開強化になります。
実は当社は、東京都渋谷区の恵比寿三越内と、世田谷区の二子玉川ライズ・ショッピングセンター内にリアル店舗を計2店舗展開しているほか、最近では東急ストア(東京都/須田清社長)さんの店舗内に5平方メートル前後の「Oisix専用コーナー」を設けたりしています。
──リアル店舗はインターネットとの相乗効果も見込める。
とくに東急ストアさんの「Oisix専用コーナー」の売上は好調に推移しており、13年2月の2店舗に加えて、3月以降も毎月1~2店舗ずつコーナーを増やしていく方針です。通常はあまり売れない有機野菜やこだわり野菜であっても「オイシックス」というブランドで括ると売れるようになります。SMにとってはそれまであまり売れなかった高付加価値商品の売上が見込め、われわれとしてはお客さまとの接点を増やせるというメリットがあります。
髙島 そうです。
リアル店舗のお客さまには、すでに当社のことを知っている若い主婦層がおり、「店舗ができてうれしい」という声を多くいただきます。一方でオイシックスのことを知らなかったシニア層のお客さまもいます。シニア層の中にはリアル店舗で当社の商品のファンになり、ヘビーリピーターになる方も多くいます。そう考えると、リアル店舗はインターネットとシナジーがあると言っていい。インターネットではリーチできていなかったお客さまに当社のファンになってもらえるのですからとても有益だと考えています。
──そもそも、リアル店舗のねらいは、お客との接点を増やす点にあったのですか?
髙島 リアル店舗はプロモーションだけではなく事業としても考えています。
オープン当初は売上が伸びず、廃棄や値引きロスが多くてとても苦労しました。「素人が店舗事業に手を出すと痛い目を見る」と思いましたが、商品力があるので徐々に売上が伸び、今では繰り返し利用してくださるお客さまが増え、ようやく軌道に乗ってきました。ですから今後2~3年内に本格的に事業化できると思います。
──新たなマーケティング施策として、どのようなことを考えていますか。
髙島 今後、新しいアライアンス(業務提携)によるマーケティング施策が増えていくと思います。
たとえば最近では、東京都渋谷区にある代官山蔦屋書店さんのマルシェ(朝市)に出店しました。するとスマートフォンを通じてその場で当社の会員になる方をたくさん目にしました。スマートフォンの普及でリアル店舗のイベントを通じたマーケティングの効果が高まっています。ですから全国の小売業さんなどと連携してお客さまとの接点をさらに増やしていきたいと考えています。