ジーユー代表取締役社長 柚木 治
年商1兆円をめざし、ユニクロの2倍のスピードで成長する!
値引きを抑えて、価格の信頼感を得る
──少品種大量生産で、トレンドを追うのは難しくありませんか。
柚木 ファッションには選ぶ楽しさが必要で、品番が多くなければお客さまが楽しくない、飽きてしまうのではないかとよく言われます。一方で、トレンドのど真ん中でも当たり外れは出るものなので、品番を絞り込むのはリスクが高い、無謀だということもよく言われますね。
──しかも、ユニクロの半値以下の価格で販売する。
柚木 安くなければ、お客さまに買っていただけません。ローコストオペレーションに徹すること、そしていかに値引き率を抑えて売り続けられるかを重要視しています。値引きはしないほうがいいに決まっています。ただ、それだけではなくて、われわれのような低価格で販売するビジネスでは、店頭価格を信じてもらえるかがとても大切なのです。値引きを繰り返していると、信頼がなくなってしまいます。
お客さまは、流行を先取りしたいと思っていても、好きなブランドに限ってセールを待たなければならないことがあります。値段が下がるまで待たせてしまったら、お客さまの期待に応えていないことになる。ジーユーはプロパー価格が信頼できるから、シーズン初めから欲しいと思ったら、すぐ買えるようなかたちにしなければならないと思っています。
──ファストファッションは大体、ワンシーズンのみの着用を前提にしていますが、ジーユーもそうですか。
柚木 ワンシーズンで品質的に駄目になるとか、壊れるとか、裂けるというのは論外です。トレンド商品なので、ワンシーズンで着用しなくなることは多いと思います。ジーユーはワンシーズン間違いなく着ることができ、次のシーズンも着られる。変な言い方かもしれませんが、高品質は重要視していなくて、当たり外れがないということを実現したいと思っています。
安いものを買って高くついたと思ったことがない、結果として品質のことをお客さまが忘れられるようにしていきたい。それを、ユニクロから生まれたブランドとして強みにしていきたいと思っています。
──そこは差別化の大きなポイントになってきますね。
柚木 値段は安いけれども、店内はいつもきれいにしてあるとか、スタッフがきびきびしているとか、細部まで神経が行き届いているといったことが、ブランド全体として大事だと思っています。
ユニクロとネットワーク・情報・ノウハウを共有
──商品開発部隊は、ユニクロとは別なのですか。
柚木 まったく別部隊です。1人の人間が、クリエーティブな部分でユニクロとジーユーをつくり分けるのは現実的ではありません。全力で1つのブランドをつくらないと、いいものはできません。ですから、完全に分かれています。ジーユーのチームには、ジーユーのために入ってきた人間もいれば、ユニクロから移ってきた人間もいます。
──素材については、ユニクロと共通化しているのですか。
柚木 いいえ、素材がいちばん違いますね。一般的に素材は原価の50%ほどを占めます。ジーユーはお客さまが普通に着るぶんには何ら問題がないという素材を駆使し安くするというかたちで、お客さまに還元することを追求しています。
──素材の調達面で課題はありますか。
柚木 いい素材に巡り合っても、安定調達できないときがあります。ユニクロは長期的な取り組みとして安定調達が可能ですが、われわれはまだ追いついていません。たまたまこの生地はこれだけの量が確保できることがあっても、継続するというとハードルがありますね。