キリンビール代表取締役社長 松沢幸一
「のどごし〈生〉」「新・一番搾り」「キリン フリー」…連続ヒットの裏側にあるものとは?!

2009/12/09 00:00
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 そこで、アルコール分0.00%に挑戦しようということになったのです。納得できる味にするのにかなり苦労しましたが、ドライバーだけでなく、ア ルコールがもともと飲めない方、病気や妊産婦の方など、いろいろな方から支持されています。また、ヘビードリンカーの「休肝日」用などにも利用されていま す。こんな飲まれ方はまったく想定外で、われわれがお客さまからたくさんのことを教えていただきました。

 

 また、発売以来ずっと、多くの方から反響をいただき続けている珍しい商品です。中には「余命幾ばくもない父に飲ませて、一緒に食卓を囲めるのがう れしい」と、涙が出るようなお声もありました。しかし、あまりの好調で品切れをおこして、お取引先には大変なご迷惑をかけてしまいました。

 

 「フリー」のヒットは、多くの困難を乗り越えてきており、開発チームに力が付いたことを実感させてくれました。

 

──商品開発では、やはり消費者の声や問い合わせが起点になることが多いのですか?

 

松沢 確かに、お客さまの声はヒントになります。技術からの発想だけではなかなかいいものはできません。消費者やお取引先の声を丹念に聞いていって、その中から次にやって来るものを探していくのがいちばんいいようです。

 

──大手メーカーが小売チェーンのPBをつくる動きが出ていますが、その点はどうお考えですか?

 

松沢 広告などのコスト削減ができるし、低価格へのニーズもあるので、そういう道もあるでしょう。しかし、当社はビール類でPBをつくるつもりはありません。あ くまで、ナショナルブランドの価値を高めていきたいと考えています。私たちは、メーカーとして、お客さまのニーズから商品コンセプトをつくるという一連の 流れの中で、商品の価値を提案してきました。今後も、この一連の流れをくずさずに積極的な提案をしていくつもりです。

 

 PBをつくれば、一定数量の契約が簡単に取れて、一時的には営業も楽になります。しかし、営業の最前線の社員が一軒一軒地道にお取引先を回るからこそ、情報の触覚が鍛えられます。そのメーカーの要がなくなっては元も子もありません。

 

 基本的に当社は、すべてのお取引先とイコールパートナーとして取り組みたいと考えています。われわれとお取引先の双方がwin-winになれるよ う、当社のポリシーややり方をお取引先に提案、理解していただいて、売場づくりや販促活動を一緒にやっていきたいと思っています。

 

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