KKRパートナー/プライベート・エクイティ・グループ マイケル・カルバート
ダラーゼネラル再生の立役者に聞く!“障壁”を取り除けば、ヒトは前進できる

2011/02/25 00:00
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 また、経営は悪化していましたが、ダラーゼネラルの中には生きていたものがありました。それは、「お客さまの生活の質を向上させる」ことへの強い信念と、強力な企業風土です。これは、企業を再生するに当たって、頼もしい資産だと思いました。

 

 

 小型店フォーマットの将来性と、ダラーゼネラルが本来持っている企業風土があれば、再建は可能なはず。われわれと経営チームが協力すれば、お客さまの買物体験を劇的に改善できる。そうなれば、ダラーゼネラルは市場の中で存在感を発揮できると見ていました。

 

──投資を決めるまでに、どのくらいの期間をかけて検討していますか?

 

カルバート 当社が投資をする場合、まず対象企業の状況整理から始めます。投資先の経営チームとの対話に数年をかけることもあります。実際、ダラーゼネラルの場合は2年ほどかかりました。投資チャンスがあると踏んだら、約6カ月をかけて顧客インタビュー、従業員インタビュー、財務のデューデリジェンス(資産査定)を実施します。KKRには経営コンサルティング部門のKKRキャップストーンという組織がありますので、コンサルタントと一緒に事業再生のための短期的なアクションと長期的な戦略に関する計画をつくりました。

 

──経営の中のどの分野について計画をつくったのですか?

 

カルバート ビジネスを改善するために優先順位の高い、主要な部分に集中します。ダラーゼネラルのケースは、マーチャンダイジング(MD:商品政策)と店舗オペレーション、不動産の条件改善といったところです。

 

──MDについては、どのように改善したのでしょうか?

 

カルバート まず、お客さまに従来のダラーゼネラルよりもいいモノを提供したいと考えました。そこで、より高品質な商品や、ナショナルブランド(NB)のトップブランド商品を品揃えに加えました。さらに、お客さまの要望を聞きながら、商品の品揃えを絞り込んでいきました。また、品質やパッケージデザイン、価格政策も見直しました。

 

 一方、売場づくりについては、従来の混沌とした売場を整理し、お客さまが買いたい商品を見つけやすくしました。

 

──大変な作業ですね。最も苦労したのはどのような点でしたか?

 

カルバート まず、ダラーゼネラルの経営を支援し始めた当時、すでに店舗数が8000を超えていました。つまり、何を変えるにしても、8000店舗すべてに展開しなくてはいけない。この点は、かなりのチャレンジでした。8000店舗の店長にわれわれの方針に従って改革に取り組んでもらい、全店舗にムラなく浸透させるまでには時間がかかりました。

 

 ただ、現場のマネジャーたちが、お客さまから「買物体験がよくなった」「店がとても変わった」と声をかけられるようになるにつれて、変化の速度はアップしました。

 

 ダラーゼネラルにしても、ショッパーズ・ドラッグ・マート社にしても、われわれ以外の多くの人の努力によって再生したということを忘れてはいけません。実際に現場で改革に取り組んだ経営チームの実績だと思っています。

 

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