スイッチOTCとは何か?どうして薬剤師がいないと購入できない?メリット・デメリットを交えて解説!

読み方:すいっちOTC
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スイッチOTCとは

OTCイメージ
スイッチOTCとは、医療用医薬品として用いられていたものを、OTC医薬品として販売できるように転用された医薬品のこと  i-stock/MJ_Prototype

スイッチOTCとは、従来は医療用医薬品として用いられていたものを、OTC医薬品(一般用医薬品)として販売できるように転用された医薬品を指す。

許可されているスイッチOTCは89成分

医療用医薬品は、原則として医師の処方せんがなければ入手できない。ただし以下の成分を含有する医薬品は、一定の条件のもと、薬局でも販売できる。

・イブプロフェン:生理痛用薬・解熱鎮痛剤(エスタックEVE・ナロンエースなど)
・インドメタシン:消炎剤(サロンシップなど)
・エピナスチン塩酸塩:鼻炎薬(アレジオンなど)
・フェキソフェナジン塩酸塩:鼻炎薬(アレグラなど)
・ロキソプロフェンナトリウム水和物:抗炎症・解熱剤(ロキソニンなど)
をはじめとする89成分(令和3年6月厚生労働省公表)

スイッチOTCを販売する条件

スイッチOTCは、要指導医薬品と一般用医薬品に区分される。医療用医薬品をOTCにスイッチする場合、販売当初は処方せんなしで販売するにあたってのリスク情報が蓄積されていない。このため3年間は要指導医薬品に指定され、購入にあたり薬剤師による服薬指導が義務付けられる。つまり、消費者にとってみれば購入ハードルが高いといえる。3年経過後は、一般医薬品への転用が認められウェブなどでの販売も可能となる。

スイッチOTCのメリット

メリットのイメージ
スイッチOTCのメリットは、セルフメディケーションの普及による通院・受診の手間省略と医療費の公的負担抑制にある。

スイッチOTCのメリットは、セルフメディケーションの普及による通院・受診の手間省略と医療費の公的負担抑制にある。
平均寿命が延びているなかで、健康管理のありかたとして注目を集めているのがセルフメディケーションだ。セルフメディケーションについて世界保健機関(WHO)は、「自分の健康は自分で守り風邪などの軽微な病気はOTC薬などによる自己手当で済ませること」と定義している。
自ら健康的な生活習慣を心がけ、病気や薬に関しての知識を身につければ、医師の処方に頼らなくても必要な薬を入手できる。国の立場からすれば、通院の機会が減れば診療報酬や薬剤費に対する公的負担を減らし、50兆円に達するとされる医療費の膨張を抑制することができる。

スイッチOTCのデメリット

スイッチOTCのデメリットは、コストと安全性管理だ。

スイッチOTCはなぜ割高か

一般的にスイッチOTCの価格は割高だ。医師の処方がいらない分だけ割安になるかと思えば、まったく逆である。理由は公的保険が使用できないためだ。医療用医薬品は公的保険から7割(個人によって異なる場合あり)が助成されるが、スイッチOTCは全額が自己負担である。
こうした経済的事情もあって、スイッチ品を含めたOTC市場は頭打ちの様相も呈している。厚生労働省はスイッチOTCを推進しているものの状況は芳しくない。多少面倒でも、病院を受診して処方してもらった方が安いのだから当然ともいえる。

スイッチOTCと副作用

一般的に、医薬品を用いる場合には副作用に注意しなければいけない。スイッチOTCの多くは副作用が軽微だとされているが、薬の飲み合わせや持病などによってはリスクが高まることもある。
たとえば要指導薬に指定されているチェストベリー(生理痛治療薬:プレフェミン)の場合、副作用は軽度の頭痛やめまいなどが受忍限度内だ。一方で乳がん患者による服用、避妊薬・精神病薬との併用には充分注意する必要あり、とされているような例もある。

スイッチOTCの実例

スイッチOTCの実例として、ドライアイ向け点眼薬「ヒアレイン」について取り上げる。
ヒアレインは、高粘度で涙に流されにくいヒアルロン酸ナトリウムを主成分とし、目の渇き・疲れ・かすみに効果があるとされている。これまで医療機関向けとして高い評価を得てきた。
そのヒアレインが2020年9月に市販を開始した。スマートホンやパソコンの急速な普及もあり、今や3000万人近くが目の渇きに悩んでいるとされる。だからこそヒアレインは、久しぶりの大型スイッチOTCとして注目を集めているのだ。

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