デリバリーサービスとは?コロナ禍で注目集まるフードデリバリーのメリット、デメリットについて解説!

読み方:でりばりーさーびす
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デリバリーサービスとは?

フードデリバリーのイメージ
デリバリーサービス市場は、コロナ禍による巣ごもり需要の追い風を受けてさらにその勢いを増している。i-stock/tdub303

 デリバリーサービスとは、スマホアプリなどによる注文を通じ、主に食事を顧客の元まで届けるサービスである。「届ける」という行為そのものをデリバリーともいうため、届ける商品が食事とは限らないケースもあるが、ここでは主に食事を届ける「フードデリバリーサービス」を中心に解説する。

 昔からあるいわゆる「出前」は、飲食店が直接注文を受け、従業員が配達するクローズ型のビジネスモデルだ。一方でフードデリバリーサービスは、複数の飲食店と不特定多数の顧客をアプリで結びつける。

 成長を続けてきたデリバリーサービス市場だが、コロナ禍による巣ごもり需要の追い風を受けてさらにその勢いを増している。

デリバリーサービスのメリット

メリットのイメージ
最大メリットは、飲食店のビジネス機会拡大にある。

 フードデリバリーサービスの最大メリットは、飲食店のビジネス機会拡大にある。飲食店ビジネスを優位に展開しようとすれば、好立地・フロア面積・ホールスタッフ確保は必須条件だが、これらを充実させればさせるほど飲食店の収益を圧迫する。

 一方でデリバリーサービスを利用すれば、キッチン+カウンターといった狭い店舗でも、顧客確保の機会を拡大できる。デリバリーサービスが発行するチラシへの掲載も、広告効果が期待できる。実店舗を知ってもらう機会が増え、クリック&モルタル(オンライン取引を通じた実店舗への送客)効果が生まれるのだ。

デリバリーサービスのデメリット

 デリバリーサービスのデメリットには、雇用・労務問題、飲食店の経営圧迫、過当競争などがあげられる。

労務・雇用問題

 デリバリーサービスの配送スタッフは、サービスによって異なるが、その大部分が個人事業主であり、最低賃金・労災事故・雇用保険といった労働者に適用される保護ルールの恩恵を享受できない。

 スタッフ収入の大部分は出来高制で、てきぱきと配達をこなせなければ最低賃金を割り込む可能性も充分ありうる。事故を起こして働けなくなっても、文字通り「自己責任」で休業補償は適用されない。

 イギリスでは配車サービスUberを相手取った裁判で原告側が勝訴、Uberはドライバーへの最低収入保障などを余儀なくされた。こうした動きは、今後世界中のギグワーカー(雇用契約を結ばずに単発の契約で働く労働者)全体に広がる可能性がある。

飲食店の経営圧迫

 フードデリバリーサービスが飲食店から徴収する手数料の高さは、多くの国で問題化している。アメリカではサンフランシスコやニューヨークといった都市で手数料に上限を設ける動きが出ている。日本では規制の動きは出ていないが、出前館(東京都/藤井英雄社長)などが飲食店支援を目的とした緊急措置をとっている。ただしこれらの動きはいずれも一時的な動きであり、高止まりした手数料を根本的に見直す動向は見られない。

過当競争

 デリバリー先進国のアメリカでは、すでに過当競争気味の事態に陥りつつある。日本の場合、海外に比べるとフードデリバリーの普及率がまだ低く、市場拡大の余地が充分にあるとされている。ただし、最近は外資系企業の参入が相次いでおり楽観視はできない。

デリバリーサービス取り組みの実例

ウォルトイメージ
フィンランドのWolt(ウォルト)は地域密着型で契約店舗を絞り込み、かつスタッフの質向上で差別化を図る。i-stock/maxi-stock

 フードデリバリーサービス取り組みの実例として、最近日本市場に進出した外資系企業の戦略について取り上げる。

 日本には2020年に入ってからフィンランドのWolt(ウォルト)、シンガポール発祥のfoodpanda(フードパンダ)などが相次いで進出している。これら後発組の多くは、競争が激しいレッドオーシャンの三大都市圏(首都圏・近畿圏・中京圏)を避け、ブルーオーシャン、たとえば仙台といった地方都市に照準を当てているようだ。

 中にはWoltのように、地域密着型で契約店舗を絞り込み、かつスタッフの質向上で差別化を図る企業もある。

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