ダブルチョップとは?ダブルチョップを導入するメリット・デメリットを徹底解説!

読み方:だぶる・ちょっぷ
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ダブルチョップとは?

 ダブルチョップとは、製造業者と卸業者、もしくは小売業者が共同で開発し、製造者と販売者の両者の名前が表示されている商品を指す言葉である。チョップ(chop)とは商標を意味しており、自社の商品やサービスを他社のものと区別するためのマークである。なお商号である会社名も、商標としての登録が認められている。公的な定義ではないが、製造者と販売者のチョップが併記されている商品を、業界の通念でダブルチョップと呼んでいる。

食品表示法とダブルチョップ

 製造者と販売者が共同で開発し、販売者のブランドが付けられた商品は、広くプライベートブランド(PB)と呼ばれている。その中で食品については食品表示法により、2020年4月から製造所固有記号ではなく、一部を除き製造所等の名前の表示が義務付けられている。そのため、PB食品全体が、商品ブランドと製造者名をパッケージに表示するダブルチョップ状態になっている。なお製造者名の表示義務は、食品と一部の指定された商品群に限定されている。化粧品類については、ダブルチョップの概念とは別に薬事法により製造者の表示が義務付けられている。

ダブルチョップ導入のメリット

メリットのイメージ
ダブルチョップの導入メリットは、商品の信頼性の向上と収益性の確保である。 Advantages and disadvantages

 販売者にとってダブルチョップの導入メリットは、商品の信頼性の向上と収益性の確保である。ナショナルブランド(NB)メーカーが製造者であれば、その信頼と安心感を販売者のブランド商品に反映することができるからだ。さらに、ダブルチョップ商品は、小売側が事前に販売数量を契約することなどを通して、同様のNB商品を競合店よりも安価に販売することができる。加えて自社でしか販売しない商品となるため、競合店との差別化や顧客を囲い込む効果も期待できる。

 なお、製造者にとってダブルチョップ商品の供給メリットは、在庫リスクを負うことなく契約枠の販売量が確保できること、工場の稼働率を上げげられる点、さらには物流、販促などのコスト負担が軽減できる点にある。また販売者の過度な安売りを調整する手段としても期待できる。ブランドイメージを壊さない範囲で、値引き幅を収める手段となるためである。

ダブルチョップ 導入のデメリット

 販売者にとってダブルチョップ導入のデメリットは、メーカーと契約した商品を引き取る義務があり、在庫リスクのすべてを負うことである。また食中毒や異物混入、商品破損など、トラブル発生時の対処責任を負わなければいけない。食品の場合には、賞味期限の制約などのデメリットに結び付く要素もある。

 製造者にとって、ダブルチョップ商品供給のデメリットは、自社ブランド商品の販売量減少への懸念である。その他に、納品商品と契約仕様に差異が出た場合に、受取を拒否される可能性などのリスクもある。

ダブルチョップの実例

ダイエー
1972年にダイエーは、当時NBが決めた定価販売へ挑戦するために、家電などのPB化を進めた。その流れの中で、1001 円以上の化粧品が独禁法「再販売価格維持制度」から外れたことを契機に、ダイエーは資生堂と協調する形で1974年にダブルチョップ商品を発売。gettyimages/7maru

 小売価格の決定にNBが強い影響力を持っていた1960~1980年代と、今日の様にNBの影響を受けずに販売者が小売価格を設定できる時代とでは、ダブルチョップの役割は大きく変化している。ここではNBが小売価格の設定に大きな影響力を持っていた時代と、今日の状況を表す代表的な例を紹介する。

 ダブルチョップ広がりの契機

 1972年に小売業で売上額が国内トップとなったダイエー(東京都/近澤靖英社長)は、当時NBが決めた定価販売へ挑戦するために、家電などのPB化を進めた。その流れの中で、1001 円以上の化粧品が独禁法「再販売価格維持制度」から外れたことを契機に、ダイエーは資生堂と協調する形で1974年にダブルチョップ商品を発売した。資生堂はダブルチョップ商品を提供、ダイエーは安売りを自粛するという内容を含む契約である。NBがスーパーと妥協するという、当時としては画期的な出来事であった。

NB以外のダブルチョップ商品メーカー

 小売価格が定価から希望小売価格へと移行するなど、今日では販売者側が小売価格決定に大きな力を持っている。その小売市場の環境変化で、NB以外にもダブルチョップ商品を提供するローカルメーカーが増えてきている。スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアで販売されている食器洗剤やトイレットペーパーなど、日用雑貨で多くみられる。NBの信頼と安心感がダブルチョップの基本であるが、今日では販売者のブランドがローカルメーカーの信頼と安心感に貢献する現象がみられる。

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